「天体のメソッド」の新作エピソードについて。

kenkyukan2019-01-10

 昨年末の話になってしまいますが、クリスマスの夜にあの「天体のメソッド」の新作エピソードの制作が告知されて、これには本当に驚いてしまいました。もうかれこれ4年も前に放送されたアニメで、商業的には大きく成功したとはいい難いところもあり、これまでなんらかの続編・新作の話はまったくなかっただけに、ここに来てのこの動きは驚くしかなかったです。しかし、その一方で、非常に根強い熱心なファンが、いまだ多数いるとも思える作品で、そうしたファンの力によってこれが実現されたとすれば、これほどうれしいこともありません。

 「天体のメソッド」のアニメが始まったのは2014年10月。あの「Kanon」の久弥直樹が脚本を担当しており、そのため放送前から注目度は高く、さらにはQP:flapperによる魅力的なキャラクターデザインや北海道の洞爺湖をモデルにした美しい背景ビジュアルもあって、作品への期待はかなり大きいものがあったと思います。
 しかし、実際に始まった放送への反応は、当初微妙なものがありました。作品の序盤において、不穏で険悪とも思えるキャラクターの関係性の描写と厳しいエピソードが続いたことで、視聴者の好みはかなり割れた印象がありました。中盤になってそれが解消されて以降は、かなり印象は持ち直すものの、最後まで見た人はそれほど多くないようにも感じました。

 一方で、少年少女たちの過去のつながりを修復するエピソード、とりわけ不思議な少女ノエルを軸とした彼女たちの関係性、さらにはかわいいキャラクターと美しい背景世界の魅力は、熱心な視聴者を強く惹き付けるものがあり、非常にコアなファンを多数生み出したのではないかと思います(わたしもその1人でありますね)。とりわけ、最終回最後のエンディングは、非常な切なさと美しさ、そして最後に喜びに満ちたような素晴らしいものとなっていて、これで作品に一層はまり込んだ人は多かったと思います。

 また、アニメ放送初期から放送後まで長い間、舞台モデルとなった洞爺湖の舞台探訪、いわゆる聖地巡礼が盛り上がったのも印象的でした。実在の場所を積極的に作品に取り入れた美しい背景美術は、やはり多くの人を現実の舞台にいざなうのに十分の魅力がありました。この舞台探訪がずっと長い間盛り上がったことも、今回の新作エピソードの原動力のひとつになったのではないかと思います。

 できれば新作エピソードよりも正式な続編、アニメ2期こそが、ファンの一番望むところだと思いますが、しかし4年も経って何か制作の動きがあるだけでも喜ぶべきかもしれません。その上まさかの新キャラクターまで登場とあって、今から楽しみとしか言えない。そろそろ日延べにしていた聖地巡礼を実行しようかと思ってます(笑)。