「のんのんびより ばけーしょん」観賞報告。

kenkyukan2018-09-06

 先日の公開前の記事とかぶってしまいますが、ようやく待望の「のんのんびより」の劇場版である「のんのんびより ばけーしょん」を観ることが出来たので、報告も兼ねてその楽しさを伝えたいと思います。前回のテレビアニメ(2期)からすでに3年。ようやくの新作は期待通り、いや期待以上の「のんのんびより」となっていました。

 今回の劇場版のストーリーは、原作コミックの沖縄旅行編(コミックス6巻〜7巻)。最初のアニメ1期が始まる2013年秋以前に描かれている話で、初期のエピソードが中心だった1期ではアニメ化されず、さらには2年後の2015年に放送された2期でもこのエピソードはアニメ化されなかったため(原作コミックス限定版付属のOVAではアニメ化されてますが)、まさに待望のアニメ化でした。個人的にもこのエピソードだけはいつかアニメで見てみたいと思っていたのです。

 基本的なあらすじは原作とほぼ同じ、デパートの買い物でやってみた福引で兄ちゃんが引き当てた沖縄旅行を契機に、いつものメンバーが揃って沖縄へと3泊4日の旅行へと出かける話。ただ、原作に比べると、沖縄の美しい風景やそこでの楽しい活動を描く叙情的なコンセプトが強く出ていて、いつものコメディで笑えると同時に、随所でほっと感動する名エピソードになっていたと思います。

 もともと、アニメののんのんびよりは、原作ではあまり目立たないもうひとつのコンセプトが追加されていました。原作が爆笑できるギャグやコメディが中心の作品であるのに対して、アニメはそこに田舎の美しい背景描写やのんびりした間の演出を積極的に取り入れた、叙情的な光景を随所で見せるアニメになっていたのです。この劇場版は、その方向性をさらに発展進化させ、明るい沖縄の雰囲気とそこでの楽しいひと時を存分に味わうことの出来る名作になっていると思いました。

 加えて、劇場版ならではの要素として、オリジナルの新キャラクターとして現地で出会う女の子(新里あおい)が登場、彼女の絡むシーンがまた秀逸でした。同い年という設定の夏海(なっつん)とはとりわけ仲良くなり、短い滞在期間の間にふたりで作った楽しい思い出、これが物語の大きなキーポイントになっていました。原作やアニメ1期で見られたれんげとほのかの名エピソード同様、ごく短い期間での出会いと別れ、その輝く思い出がほろっとさせる一編でしたね。

 最後にもうひとつ、作中では具体的な地名はあまり出てきませんが、沖縄の中でも石垣島近くの離島・竹富島を舞台設定にしているところも惹かれました。旅行でメインの舞台になっている宿屋の描写が秀逸で、光と影のコントラストが強く描かれた開放的な宿舎の背景に強く惹かれるものがあったのです。さらには本島である石垣島も含めてダイビングやカヤック、島の名所の訪問を存分に楽しむ光景を見て、自分もいつか行きたいなとまで思ってしまったのです。