少年ガンガンの現在のおすすめをピックアップしてみる(2)。

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 前回の記事に引き続いて、今度は10年以上の長期連載からとある魔術の禁書目録のコミカライズ(原作:鎌池和馬、作画:近木野中哉)も屈指の名作として取り上げておきたいところです。


 連載が始まったのは2007年で、もはや14年の長期連載となりました。他社(この場合電撃)のライトノベルスクエニがコミカライズする、これは今では定番中の定番の企画となっていますが、おそらくはこれがその最初のきっかけとなりました。これと同時に、こちらはスピンオフである「とある科学の超電磁砲」の連載が本家電撃大王で始まり、今でも揃って長期連載が続いています。


 原作の面白さもさることながら、作画担当の近木野さんによるコミカライズが非常に巧み。それも連載を重ねるごとに作画のうまさがさらに際立っていき、キャラクターの見せ方やバトルの演出にも見るべきものがあります。連載のペースはかなり遅く、10年以上連載を重ねながら、先日放送されたアニメ3期とほぼ同時期に内容が重なり、しかし展開の速いアニメにあっと言う間に追い抜かれてしまいました。現在(2021年6月現在)でも、いまだ聖人「後方のアックア」と激闘を繰り広げています。


 しかし、かなりいまいちの評判だったアニメ3期より、こちらの方がずっと面白く楽しめることは間違いありません。基本同じストーリーでも演出、構成でここまで違うのかと考えさせられます。スピンオフの「超電磁砲」のコミカライズと並んで文句なくおすすめですね。

 

 最近のアニメ化作品から、無能なナナ」(原作・るーすぼーい、作画・古屋庵も取り上げておきましょう。一見して能力者ものバトルに見えて主人公の少女(ナナ)が能力者を殺す、あるいは能力者と協力して殺人の謎を解くというミステリー仕立ての作品で、その意外性からかアニメも非常な反響を呼びました。原作の「るーすぼーい」さんは、元々はPCの美少女ゲームシナリオライターで、同じくスクエニでのコミック原作(「アカメが斬る!」)で人気を博したタカヒロさんとは旧知の仲であるようです。かつてゲームシナリオで見せた才能が、時代の流れか今ではスクエニの雑誌で花開いているというのも面白いですね。


 アニメは割といいところで終わってしまいましたが、原作はその後も面白い展開が続き、今では新たな強敵との戦いでひとつのクライマックスに差し掛かっています。もう一度アニメでも続きを描いてほしい作品でもありますね。

 

 昨今のスクエニは、異世界ものライトノベルのコミカライズがすっかり主流となってしまいましたが、それはガンガンでも例外ではなく、連載ラインナップのひとつの中心となっています。その中でも最近の作品からひとつ「双翼の武装使い」(原作:進行諸島、作画:sanorin)を最後に取り上げたいと思います。辺境の地で幼い頃から修業を積んで強くなったふたりの少年が、国から派遣された魔道士たちとともに「永遠の嵐」と呼ばれる人類を滅ぼす巨大な災害に立ち向かう物語。「無双系異世界ファンタジー開幕!」というキャッチコピーどおり、主人公の少年たちがとにかく強い設定なのですが、数ある同系の作品の中でもとりわけ面白いと感じました。


 理由としては、一方は身体能力、一方は知性に長けた少年が協力してのバトル、身体を張った戦闘を後方から理に適った判断でサポートする面白さに惹かれたのかもしれません。また、コミカライズの作画がトップレベルと言えるほどうまいのもあまりに大きいです。圧倒的な迫力と緻密さを兼ね備えていて、昨今のラノベコミカライズでも一番に惹かれました。最近のスクエニでのコミカライズ作品は、アニメ化が相次ぐほどヒット作が続いていますが、これもまた「次にくる」最も期待している作品です。個人的には今のガンガンで最も楽しみな作品になっています。