「初恋*れ~るとりっぷ」連載終了の衝撃。

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 先日、きららMAXの連載告知で「初恋*れ~るとりっぷ」(永山ゆうのん)の次号完結が告げられ、あまりに意外な情報に驚きました。好調に連載を重ねていて、次期最有力候補のひとつではないかと思っていた作品のいきなりの終了告知。あまりにいきなりだったので「えっもしかして前号以前の終了告知を見逃していた?」と確認したくらいです。他の読者にとっても衝撃だったようで、同様の反応が各所で多数見られました。

 「初恋*れ~るとりっぷ」は、2018年にきららMAXでゲスト掲載を経て始まった連載。高校の鉄道部の活動を描く作品で、仙台駅を起点に仙台周辺の名駅や駅周辺の名所を積極的に巡っていく活動内容は、鉄道ファンを中心に当初より読者の注目を集め、コミックス1巻発売の頃にはすでに大きな人気作品となっていました(翌年の「4コマオブザイヤー」でも新作部門で5位以内に入っています)。

 作者の永山ゆうのんさんは、ずっと以前からきらら4コマ作品(ひだまりスケッチきんいろモザイク)の同人活動をしていて、そこから雑誌の連載作家へと抜擢された形となっています。最近ではちらほらこうした方面からの起用も目立ち、同じきららMAXで「社畜さんと家出少女」を連載するタツノコッソさんもそれに該当します。
 また、永山ゆうのんさんは、この「初恋*れ~るとりっぷ」以前にもきららMAXで連載を行っていて(「みゅ~こん!」)、そちらの方も好評だったと思いますし、こちらがコミックス2巻で終了したのも少し意外に思った記憶があります。しかし、こちらは作者の趣味であるスク水を全面的に推し出すなど少々マニアックで(笑)、そこがちょっと引っ掛かったのではないかと思いました。それがこの「初恋*れ~るとりっぷ」では、そうした描写はかなり控えめになり、さらには鉄道という広く支持される趣味をテーマに加えたことで、当初より幅広い人気を得て今度こそ行けるのではないかと期待していたのです。

 鉄道のような趣味を扱う作品は、最近のきららでは「ゆるキャン△」を筆頭に多数の人気作品を生み出していますし、さらには高校の鉄道部という部活を舞台にさらにはキャラクター同士の百合要素も全面的に推し出した作風で、他の同系のきらら作品に匹敵する支持を集めることが出来たと思ったのです。また、この「れ~るとりっぷ」ならではの特徴として、部活の顧問である先生(まひろ先生)が、活動の中心となってほかの部員たちを引っ張っていく点があると思います。他の作品でも顧問や担任の先生はよく登場しますが、大抵は生徒たちの一歩外側で活動のサポートを行う役割が多いようです。そんな中で、自分自身が部活の中心となって生徒を引っ張る積極的な性格の先生は、それだけで大きな魅力がありました。

 コミックス1巻発売以降も順調に人気を重ねていき、地元仙台を中心に読者による聖地巡礼のような活動も積極的に見られ、さらには書店などの店舗でもこの作品を推す動きが各所で見られるようになっていました。間違いなく次期有力候補の一角で、その中でアニメ化の期待も最も高い作品のひとつではなかったかと思います。それが、ここに来て何の前触れもなくいきなり次号終了の衝撃。

 実は、これ以前もきらら系列の雑誌では、こうした意外に思える連載終了が後を絶たず、毎回不思議には思っているのです。つい先日の「エンとゆかり」の連載終了もまさにそうで、こちらも特に終わるような兆しはなかったと思います。それ以前では「どうして私が美術科に!?」「なでしこドレミソラ」の連載終了がそうでした。他にも好評だったはずなのにコミックス2巻あたりをひとつの目途に終了する作品は後を絶ちません。コミックスの売り上げが連載継続の目安になっているのではとの推測もありますが、それにしても読者の抱く感覚との乖離が激しすぎます。

 その中でもこの「初恋*れ~るとりっぷ」の突然の連載終了は、個人的な衝撃度では一番ではなかったかと思います。それも通例数カ月前から何らかの終了告知や情報が出回ることが多い中で、つい1カ月前になっていきなりの終了告知。次期アニメ化決定に最も近いと思っていた矢先での出来事で、今はどう対応すればいいのか分からないのが正直なところです。