「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」

f:id:kenkyukan:20200217173755j:plain

 今季の冬アニメは非常に面白いものが多く、追い掛けるだけでも大変な思いをしていますが、その中でもアニメ化以前の原作からずっと期待していた「防振り」こと「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」をピックアップしてみたいと思います。


 原作は夕蜜柑さんによる「小説家になろう」で掲載されたライトノベルですが、わたしが特に注目していたのはKADOKAWAコンプエースで連載が始まったコミカライズです。コミカライズの作画を以前より同人での活動で知っていたおいもとさんが担当したことで、それをきっかけにコミック版から読み始めました。その後、ほどなくしてアニメ化企画の発表があり、発表からしばし待たされましたがこの2020年冬よりついにアニメ放送開始。こちらも期待通り、いや期待以上の作品となっていたので、今こそその魅力を存分に伝えてみたい。

 

 物語の舞台となるのは、『NewWorld Online』というタイトルのMMORPGの世界。主人公の本条楓は、メイプルという名前でこのゲームを始めるのですが、ゲーム初心者ならではの極端な手探りプレイの結果、「大盾」という防御力特化のクラスを極めてしまい、ほぼダメージを受けない無敵の力を手に入れることになります。やがて、このゲームを彼女に勧めた友人・理沙(サリー)とも合流し、このふたりの元にやがて集う仲間たちと共に、楽しくゲームを続けていくことになります。

 

 最初にこの作品を面白いと思ったのは、メイプルとその友人サリーのプレイスタイルの違いです。サリーは、メイプルとは異なりゲームに慣れたプレイヤーで、こちらは回避能力に特化したキャラクターを作成、持ち前のゲームテクニックで巧みにゲームを進めていく。初心者らしいたどたどしいプレイのメイプルとの対照性が面白く、そのかっこよさとかわいさに惹かれてしまいました。アニメでは、その回避に特化したスピード感溢れるバトルを抜群の作画であますことなく再現。これはこのアニメの大きな見所のひとつになっています。

 

 そしてもうひとつ、この作品ならではのコンセプトとして、あくまでゲームの世界での楽しい冒険や生活を描いていることがあります。こうしたMMORPGの世界を舞台にしたライトノベルやアニメは枚挙に暇がありませんが、そうした作品の多くは、ゲームの世界から戻れなくなったり、あるいは突然異世界に飛ばされたり、あるいはゲームにおいてもシビアで厳しい世界観やストーリーが描かれたり、そうしたタイトルが目立つような気がするのです。

 

 そうした作品が多い理由としては、こうした小説やアニメが、かつての本格ファンタジーの延長として描かれている理由が大きいと思いますが、逆にあくまで遊びとしてのゲームの楽しさ、それだけに100%極振りしたようなタイトルは、逆に少数派で珍しいような気もするのです。この「防振り」は、その楽しいゲームのプレイをただひたすらに描いているところがあまりに愛おしい。ゲームの戦闘やダンジョンにおいて、仮に死んだとしてもスタート地点に戻るだけで、本当に死んだり世界が危機に陥るようなことはない。目の前のイベントにチャレンジし、スキルやアイテムを手に入れて強くなる楽しさが存分に描かれている。メイプルとサリーふたりがオンオフ問わず仲良く一緒に会話してるシーンがそれを象徴しています。やがて2人の下には仲間が集まりギルドを結成することにもなりますが、広々した拠点で気の合う仲間たちと過ごすシーンも、楽しさと優しさに満ちています。

 

 主人公たちがいわゆるチート的な能力を手に入れて、それで余裕をもってゲーム世界や異世界で活動をする話は多数ありますが、この「防振り」も、確かにメイプルやサリーはとんでもない強さを手に入れています。しかし、「防振り」がそれらの作品と異なるのは、彼女たちを取り巻く世界そのものが優しいこと。凶悪な魔物が跋扈していたり、住人たちが虐げられていたり、殺伐とした争いが起こっていたりするようなことは一切ない。そういう世界を描いていること自体が本当に素晴らしいと思いますね。

 

 アニメの制作はSILVER LINK.ですが、今回は作画に圧倒的に全振りしていて、スピード感溢れるアクションはもとより美しいゲーム世界を描いた背景美も素晴らしいの一言。ここ最近は個人的にちょっと好みからは外れる作品が多かったのですが、この防振りはもう完全に自分のツボでした。のんのんびよりあんハピ♪を手掛けたシルリンが帰ってきた。もはや動画工房SILVER LINK.なしでは生きていけない身体になってしまいましたね(笑)。

「恋する小惑星」ついについに放送スタート!

f:id:kenkyukan:20190622212444j:plain


 去年の今頃。まんがタイムきららキャラットから3つ作品のアニメ化が発表されました。ひとつは昨年すでにアニメ化され大好評のうちに放送を終えた「まちカドまぞく」。ひとつはこの先の放送を控える「おちこぼれフルーツタルト」。そしてもうひとつが、この新年1月3日よりついにアニメが始まる「恋する小惑星です。そして、これは個人的にも3つの中で最も期待を込め心待ちにしていた作品でもあります。

 

 この「恋する小惑星」に感じた魅力はいくつもあります。まず、真っ先に挙げたいのは、「小さな子供の頃の夢を追う」という純粋なストーリーでしょうか。先日1話先行上映イベントがあったのですが、その時に主人公みらの役を演じた声優さん(高柳さん)の感想で、「小学生かまだ小さな頃の夢を、高校生になっても覚えていて今でも目指しているなんて中々ない」というものがありました。これには自分もはっとさせられるものがあって、確かにそこまで純粋なきらきらした話というのもそう多くはないかもしれない。


 それも、みらは、ただ漠然と夢を想っているだけでなく、実現に向けて真剣であり、高校の地学部でかつての幼なじみと偶然再会したことをきっかけに、部活動を通して積極的に夢を実現すべく活動を続けていく。これはアニメでも是非ともその軌跡を追っていってほしいと思います。

 

 ふたつめは、やはり「地学」という学問を取り上げた学術的なテーマの数々でしょうか。「地学」とは「地質学」「地球物理学」「鉱物学」「気象学」「天文学」など地球・宇宙を包括的に扱う範囲の広い学問。作品では、主に地球方面を扱う地質班と、宇宙に目を向ける天文班に分かれて活動することになりますが、そのいずれもが興味深い学術テーマであり、いずれかに対する興味をきっかけに、ほかの分野まで有機的に繋がっている学問の面白さを体感できるのが大きな魅力だと思います。

 

 鉱石・鉱物や天文学ジャンルへの人気はもともと高いですし、アニメでは実際の星空を徹底的にこだわって再現している点も注目に値します。また地質や地図を通じていわゆる「地理学」的なジャンルにまで手を伸ばしているのも面白い。わたしも、以前原作を自分の記事やツイートで取り上げた際、地理クラスタと思われる方々から思わぬ反応を幾つかいただいたことがあり、こうした学問ジャンルにも根強い人気があるのだなと驚きました。こうした方々にも是非今回のアニメを見ていただきたい!(笑)

 

 そして最後にもうひとつ、なんといってもきららであり制作が動画工房であることを強く推しまくりたい!ところです。こうきららクラスタ、日常ものクラスタが常に追い求める、まさに「こういう作品を待っていた」アニメになっていることを何よりも強く力説したいのです。キャラクターめちゃくちゃかわいいし学校の日常楽しいしそしてなんといっても百合! いわゆる百合的な要素が強く、読者や視聴者もそれをよく望んでいることは、過去のきらら作品でもよく言われていたことですが、今回の「恋アス」は、それをこの手のアニメが何よりも好きな動画工房スタッフが、まさに全身全力を込めて作り上げていることはもう間違いない(笑)。これは一足先に見た1話先行上映会で何よりも感じ入りました。

 

 思えば、昨年2019年はきらら原作アニメが1本しかないというちょっと寂しい1年でした(その1本が「まちカドまぞく」という大成功だったわけですが)。しかし、ここに来て待望の「恋する小惑星」が来たからにはもう恐れることは何もない。ついに時は来た!

「紋章を継ぐ者たちへ」ついに完結。

f:id:kenkyukan:20191231232847j:plain

 ヤングガンガン創刊号から途切れることなくずっと連載を続けていたあの「ロトの紋章」の続編「ドラゴンクエスト列伝 紋章を継ぐ者達へ」が、ついに次号ヤングガンガンで完結を迎えます。物語はすでにエピローグへと入っていて、あとは最後の1話を待つのみ。ヤングガンガン創刊が2004年末でしたので、いつの間にか15年もの長期連載を続けたことになります。これは、1991年から97年前半まで、実質6年半の連載で終了した「ロトの紋章」本編の2倍をはるかに超える連載期間となりました。

 

 しかし、連載期間は本編よりずっと長かったのですが、その人気や評価については、残念ながら本編には遠く及ばないところもあったと思います。理由としては、連載序盤は人間同士の争いを描くことが中心で、残虐なシーンも多く、規模の小さい小競り合いを描くことに終始したこと。主人公アロスの性格も、かつての少年マンガらしい明るい積極的な性格だったアルスとは対照的に、内向的であまり表に感情を出さないもので、心情がわかりづらかったこと。ストーリーも全体的に暗くテンポも速くなく面白みに欠ける点が目立ったこと。などが挙げられると思います。連載開始当初こそあの「ロトの紋章」の続編ということでかつての読者を中心に注目を集めたものの、じきにその話題は下火となっていきました。今となっては、もうここまで追って読み続けた人は多くなく、「えっまだ続いてたの?」と思う人が、残念ながら大半ではなかったかと思います。

 

 しかし、ここまでずっとヤングガンガン本誌を購読し続け、曲がりなりにも最後まで追ってきた自分としては、連載が後半に入ったここ最近の「紋継ぐ」は、以前よりも面白く注目すべきところもあったと思っています。


 まず、物語が本格的に魔物との戦いに移り、かつての「ロトの紋章」本編から引き継いだエピソードやキャラクターが次々と出てきたこと。とりわけ、かつてのアリアハンで甦った獣王グノンと再戦するエピソードは、あの名エピソードをリメイクするような形となっており、かつては勇者にとってつらい経験だった戦いが、今では人間達が新しい勇者を全員でバックアップする感動のエピソードになっています。


 また、かつて勇者たちにとっての宿敵で、しかし勇者の優しい心に触れて降伏したあの竜王が、まるで恩返しをするかのように今回は勇者と人間たちをバックアップ、全力を持って勇者たちを修業させ自らも強敵と戦う姿を見せ、これも昔のロト紋を知っているなら泣けるところでしょう。

 

 さらには、物語が最終盤に入ってきたここ最近の展開で、原作ゲームである「ドラクエ」の設定を補完するかのような設定を多数打ち出してきたのも、個人的には見逃せないところでした。あの魔王ゾーマが元は善良な人間であり、勇者をサポートする立場の青年だったとか、ドラクエ2で登場する邪神教団がすでにこの時期から活動しており、あの邪神シドーまで顔見せするシーンなどは、あまりに意外な話で驚いてしまいました。これが原作ゲームにそのまま通じる公式の設定かと言われるとまだ分かりませんが、スクエニから出ている公式のコミックで原作者(堀井雄二)の監修も得ている以上、最低でも「公認」の設定ではあると思いますし、そうした話が出てくることに驚いてしまったのです。

 

 その中でも特筆すべきは、地下世界アレフガルドの「外の世界」についての設定が、納得行く形で語られたことです。ドラクエ1で舞台となったアレフガルドの外には別の大陸があり、それは続編である2の舞台になりました。しかし、さらなる続編の「3」においては、アレフガルドの外側は闇の帳(黒いカーテン)のようなもので覆われており、その外側の世界は無いようにも見えました。ここにおいて、では2の世界は一体どうなるのか、実際のところ「3」の時点ではアレフガルドの外に世界は存在しているのか、新たな疑問が出てきてしまったのです。魔王の力で閉ざされているだけで外側には別の大陸があるのか、それともこの時には外には何も存在していなかったのか。もし存在していなかったのなら2の世界はなんなのか。

 

 それが、この「紋章を継ぐ者達へ」では、かなり納得行く形で詳細に語られることになりました。それによると、やはり3の時点ではアレフガルドの外側の世界は存在していなかったようなのです。それが、精霊ルビスによって新しい大地が創造されて、星の内側(地下)に世界が一気に広がったということのようです。これは、かつてドラクエシリーズをプレイした自分にとって、長い長い間の疑問であったので、それがここに来てひとつの解答が記されたことで、ようやく腑に落ちる形となったのです。

 

 さらに最新のエピローグでは、勇者に協力した竜王が、信頼された勇者にあの「ロトの剣」を託されたり、メルキドの町を守る目的で作られたゴーレムが、誤動作で勇者を襲うようになってしまい、それを防ぐために緊急停止スイッチを設定したとか(ある波長の音を聞かせると眠ってしまう)、ドラクエ1に繋がるような設定まで出てきて、これにはにやりとさせられました。思えば、この「ロトの紋章」自体、ドラクエ3の大ヒットの余波で生まれたアフターストーリーでもありますし、それが最後に原作ゲームに帰る形でこうしたゲームを補完する設定が示されたことは、良い恩返しになったのではないかと思っています。

今季の伏兵?いや本命!「ライフル・イズ・ビューティフル」

f:id:kenkyukan:20191215213403j:plain


 今季秋アニメもいろいろあったわけですが、この「ライフル・イズ・ビューティフル」に最初から注目していた人は多くなかったと思います。原作は「となりのヤングジャンプ」連載中のサルミアッキさんによる4コママンガ。それは、高校のライフル射撃部の活動をどこかゆるく描く日常系のスポーツものと言える作品でした。

 

 まず、「ライフル射撃」という決してメジャーとは言えない、あまり知られていない競技を正面から扱ったところに興味を抱きました。中でも、彼女達が取り組んでいるのは、実弾を使わないビームライフルによる射撃。室内で標的に向けてビームを放つその競技スタイルは、音は非常に小さく静かで、的を狙う競技者の動きもほとんどない。一言で言えば「地味」とも言える競技で、そうしたスポーツをあえてクローズアップするコンセプトが非常に面白かったのです。

 

 しかし、見た目は地味な競技かもしれないが、長時間的に向かって撃ち続ける競技者に試される技術と精神力は相当なもので、その静かな熱戦を丹念に描くスタイルは、回を追うごとに惹かれるものがあったのです。

 

 しかし、この作品は、決してスポーツ競技を正面から描くだけの作品でもない。むしろ、射撃部に属する女の子たちの普段のゆるやかな学校生活を描く日常ものの雰囲気も大きく、そうした作品が好きなファンの支持も集めました。原作は4コママンガでもあり、きらら系などの日常4コマ的な要素は、確実に大きなものがあると思います。個人的にも、きらら原作アニメ不在で、前のクールにはまったリステ(Re:ステージ! ドリームデイズ♪)も終わって寂しかった秋アニメの大きな福音となりました(笑)。

 

 キャラクター的にも非常に濃い。まずは、主人公のひかりと泉水・エリカ・雪緒の千鳥高校射撃部の個性派4人組。それぞれの個性の魅力はもちろん、彼女たちが部活でも日常でも「一緒にいる時が一番楽しい」感が強く出ていて、そのわちゃわちゃした活動を見るだけで楽しい。


 さらには、彼女たちにとって競技のライバルと言える他校の部員たちも印象的なキャラクターが多い。数多くのライバル高校の生徒たちが登場する展開は、あの「咲-Saki-」や「ガールズ&パンツァー」を彷彿とさせるところもあり、そちらのキャラクターたちにも人気が集まりました。とりわけ伊勢丘高校の部長である「紺野小桜」さんは、実力的にはそれほど突出してはいないものの、その優しい性格と見た目、部員達とのゆるやかな関係で、他校勢の中でも一番人気となっているような気がします。彼女は全国大会にも出場するのですが、ライフル射撃ではこうしたプレイヤーでも全国に行くことがありうるようで、そうした競技の一面を描いたキャラクターとしても面白いと思いました。

 

 制作に当たっているのはStudio 3Hzで、「天体のメソッド」や「プリンセス・プリンシパル」でその実力を存分に見せた実力派制作会社。EDはあの江畑諒真のひとり作画。シリーズ構成・脚本は髙橋龍也で、こちらも大安定のスタッフ。一部の演出には、彼が少し前に全話脚本を行った「となりの吸血鬼さん」に近いものも感じられ、同じ日常ものとして進化した作品ではないかとも思っています。

「モーニング・ツー」期待の新連載3作品。

f:id:kenkyukan:20191124230021j:plain

 半年ほど前から講談社の「モーニング・ツー」でこれはと注目する作品が幾つも出ていたのですが、この度先月と今月に揃ってコミックス1巻が発売されたので、これを期にまとめて紹介してみたいと思います。

 

 まず、先月10月(23日)にコミックス1巻が発売された「珈琲をしづかに」(みやびあきの)。みやびさんと言えば、かつて1年前に芳文社フォワードの連載「なでしこドレミソラ」が思わぬ最終回を迎えていたのですが、その後講談社のモーツーで連載が決まったようで、まず次回作が始まったというだけでうれしいものがありました。

 

 タイトルどおりとある喫茶店を舞台にした物語で、高校生の男の子が学校で噂になっていた喫茶店を訪れ、そこで出会った女性マスターに惹かれて懸命に店に通うようになります。大人の女性に惹かれる恋愛ものでもあり、あるいは高校生の男の子が大人を目指して奮闘する成長の物語かもしれません。あるいはしづと呼ばれるマスターは過去に何かしら事情を抱えているようで、その秘密を追うストーリーにも惹かれます。
 これまでのみやびさんの連載ではあまり見られなかった、大人たちを主役にしたストーリーと趣きある喫茶店の落ち着いた雰囲気も魅力で、心地よい読後感に満たされました。珈琲や喫茶店のちょっとした知識が織り込まれるのもいいなと思います。

 

 次いで、同日にこちらもコミックス1巻が発売された「小さなノゾミと大きなユメ」(浜弓場双)。こちらは一度連載開始時に取り上げているのですが、突然小さな身体になってしまった女子高生・望実が、ひきこもりニートの大人の女性・由芽の部屋に入り込んで小さな大冒険を繰り広げる物語となっています。なんというか最近の双さんの連載らしい、ちょっと(かなり)エッチで不健全でドタバタ感に満ちた最高に楽しいギャグコメディですね。望実と由芽、双方の視点から語られる構成や、大冒険の舞台となるとっ散らかった部屋の描写も巧みで、作者のマンガ力も存分感じられる一作だと思います。

 

 そして最後に、今月11月(22日)にコミックス1巻が発売された「四ノ宮小唄はまだ死ねない」(大槻涼樹・りいちゅ)。かねてよりイラストが好きだったりいちゅさんのコミック初連載ということで注目していましたが、コミックでも変わらぬ綺麗な作画で驚きました。
 肝心のストーリーですが、「死んでいるのになぜか生きている」存在となった探偵助手の主人公(小唄)が、雇い主の女子高生探偵や協力する刑事たちと共に、同じ境遇となった死者(ボーダー)絡みの事件を捜査・解決するミステリーとなっていて、こちらも興味深いですね。ゾンビやリビングデッドのような存在が、現代において法的にも社会に認められる存在となっている設定が面白い。死んだ後は保険も適用されず仕事に就くのも難しく、死んでもなお「生きる」ために多額の金が必要だという話も、なんとも切ないものがあります。

 

 これらの新連載に共通していると感じる点は、まず女の子、女性キャラクターがかわいいということ。すなわち、これまでそうしたジャンルで人気を得ていた作家が、積極的に招聘されて連載を始めているようで、ここ最近のこうした「モーニング・ツー」の動きは見逃せないものがあると思います。「聖☆おにいさん」やオノ・ナツメ作品、「とんがり帽子のアトリエ」とは一味違うモーニング・ツーに注目だ!

「天体のメソッド」5年目の新作エピソード。

f:id:kenkyukan:20191104225526j:plain


 先日、かねてより告知されていたアニメ「天体のメソッド」の新作エピソードの公開が急に告知され、喜ぶと同時に大いに驚く一幕がありました。告知から数日後にウェブ配信の形で予告どおり公開され、公開直後にTwitterで開かれた鑑賞会も大いに盛り上がるなど、かつてからの根強いファンの存在を改めて知ることになりました。そもそもアニメ本編の放送から4年も5年も経ってから、なお新作エピソード制作の話が出てくること自体、この作品がいかに強く愛され続けているかの証拠だと思います。

 

 「天体のメソッド」の本編が放送されたのは、もう2014年の秋。あの「Kanon」の久弥直樹の脚本ということで事前から話題を集め、かわいいキャラクターや秀逸な作画・演出には安定した評価が集まりました。しかし、序盤からかなり険しい雰囲気もあるストーリーには好みが分かれ、終盤の展開もやや不明瞭で解釈が分かれるところもあり、商業的には大成功とは言えないところもありました。ただ、その分好きな人はとことんまで好きになるような特別な作品でした。あるいは作中の舞台が洞爺湖をモデルにしたことで聖地巡礼的な盛り上がりもあり、それも放送後に長く根強い人気が続いた大きな一因になったと思っています。

 

 そして、そうしたファンにとっては本当に待ちに待った待望の新作。その内容は、まさに本編のその後を描いた後日譚的なもので、その点でかつての視聴者としてはまず感激。本編のエンディングも感動的なものがありましたが、その後の展開は描かれなかったこともあり、それは想像するより他にありませんでした。しかし、ここでその後のキャラクターたちの幸せな日々が描かれることで、ああ本当に良かったと安堵するところまでありました。

 

 中でも、今回登場の新キャラクター・キャロルとかつてのヒロインノエル、このふたりが一緒にかつての舞台を巡るシーンに一番感動しました。これは、ある意味今回のエピソードで唯一の新しいシーンと言えると思いますが、しかし彼女達が思い出の場所を辿ることが、昔の本編の再現にもなっていたのです。これによって、かつてのあの物語は正しかったのだと言われているかのようで、ここでまたも感激してしまったのです。

 

 総じてかつてのアニメの続きを描く新作としては最高の一作で、まさにこれが完璧に望んでいた『天体のメソッド』の新作エピソードだったと思います。この作品には、できればアニメ2期とかさらなる展開を期待してしまうのですが、今はこの30分の新作が見られただけでどこまでも幸せになりました。ありがとうという言葉しかないですね。

「Dr.STONE」

f:id:kenkyukan:20190927014204j:plain


 夏アニメからもうひとつ。7月より開始されている「Dr.STONE」のアニメも、期待以上にはまって見続けているところです。ジャンプで連載が始まった時からずっと注目していたのですが、満を持してついにアニメ化。そしてアニメの出来も十分すぎるものがあったのです。

 

 原作が週刊少年ジャンプの連載なので、他の原作アニメより知っている人は多そうですが、それでもアニメから新鮮な感覚で見始めた人は多かったのではないでしょうか。原因不明の人類石化現象でほぼすべての人間が活動を停止し、文明が崩壊してしまった世界が舞台。強靭な精神力で石化中も意識を保ち続けた科学少年・千空が、3700年後の世界でついに復活。原始の時代まで戻ってしまった世界で、かつて得た科学知識をフル動員して人間の文明を一つ一つ取り戻す・・・。冒頭から非常にスケールの大きい話となっています。

 

 今とは異なる世界に現代の常識を持ち込んで奮闘するという点で、ライトノベル異世界ものと共通感を持って見る感想も散見されたのですが、この「Dr.STONE」の場合、実在する科学に強く依拠している点と、その科学の復興に向けた「ものづくり(クラフトワーク)」の楽しさが、とりわけ大きくクローズアップされている点がポイントだと思います。

 

 当初は身ひとつで活動を再開し、石器作りから始めてなんとか衣食住を確保するだけで精一杯だった千空ですが、かつての同級生で心強い仲間・大樹の助けを得て、あるいは奇跡的に邂逅した人間の村の文明レベルに接触することで、文明の復活に向けたものづくりの活動が一気に加速。とりわけ、この人間の村(石神村)で活動を始めた後の展開は、一気に文明レベルが第2ステージに入った感があり、さらに面白さが倍増しました。炉を作ってふいごで製鉄作業に励み、苦労を重ねて製造した鉄に雷を当てて磁石を確保、そこからついにエジソンの電球を復活させる。さらには化学の発展には必須のガラスを製造、近くの泉から硫酸を確保する。目指す目標に向けて千空が描いたものづくりのロードマップを見るだけで最高に楽しいです。

 

 ジャンプのマンガとして、バトル的なシーンや展開もあるにはありますが、それよりもものづくりで文明を発展させている方が面白いという、ジャンプの連載としてはやや変則的な作品でもあります。しかし、こうしたものづくりと技術の発展、コンテンツにおいてアクションや冒険と並ぶほどの娯楽要素ではないかと思うのです。最近ならライトノベルを中心に人気の異世界系作品、ゲームならマインクラフトや文明発展系のシミュレーションゲームがまさにそれですし、テレビならば「鉄腕DASH!」がまさにそうです。この「Dr.STONE」も、そのスケールの圧倒的な大きさから、ある意味こうした作品の究極系ではないかと思っています。

 

 もうひとつ、原作の作画担当・Boichi(ボウイチ)の圧倒的なビジュアルを、アニメでもほぼ完全に再現しているのも素晴らしいです。Boichiさんは、元々は青年誌で活動していた韓国出身の作家で、その圧倒的に緻密な作画レベルですでに大きな注目を集めていました。わたしがこの「Dr.STONE」に最初に注目したのも実はこれが理由で、「あのBoichiが少年ジャンプで連載?」と驚いたものです。
 青年誌でのリアルで写実的な作風に比べると、「Dr.STONE」はかなり少年マンガに寄った作画になっているようですが、それでもその重厚な作画の魅力は健在。アニメでもそのビジュアルをかなり高いレベルで再現していて、キャラクターの描写も壮大な背景も素晴らしいの一言。

 

 ついでに劇伴の音楽も印象に残るものばかりで、壮大な世界観を強烈にバックアップ。全体的に非常に贅沢なアニメ作品に仕上がっていて、昨今のアニメの技術レベルの高さを象徴しているような作品でもあると思います。ジャンプの人気作品でもありこれは2クール以上やるかと期待していましたが、期待通り2クール目の放送も告知されました。原作はかなり先までストーリーが進んでいますが、アニメでどこまでやるかまだまだ楽しみです。