「のんのんびより」の魅力を今一度語る。

kenkyukan2018-08-22

 ようやく、待ちに待った「のんのんびより」の劇場版の上映が迫ってきました。アニメ2期が終了してかれこれ丸3年が経っています。出来ればそろそろ3期を期待したかったところですが、新作アニメの情報で出てきたのは劇場版。これはこれで朗報ですし、内容も1期2期でなぜかやらなかった沖縄旅行の話(原作6・7巻)ということで、やはり楽しみなところは変わりありません。原作はいまだマイペースで続いていますが、最後のアニメ放送からはかなり遠ざかっていますし、ここで今一度この「のんのんびより」の面白さを語ってみることにしました。

 わたしが最初に原作を目にしたのは、連載開始時の2009年にまで遡りますが、真っ先に目を引かれたのはまずその絵のうまさですね。原作者の「あっと」先生の作品は、この連載以前から注目して見ていましたが、とにかく背景含めて徹底的に描きこんだ独特の濃さがあり、キャラクターにも極めて強い存在感があります。「のんのんびより」ならではの個性的なキャラクターの魅力は、このしっかりと描かれた絵から来るところが大きい。田舎の風景を緻密に描く背景美術にも見るべきものがありました。
 アニメでは、このあっと先生ならではの絵の濃さはかなり薄味になり、比較的オーソドックスなカラーの作画になっていますが、これはこれでいい感じの絵になっていますね。大塚舞さんのキャラクターデザインも原作のイメージによくはまっています。

 さらに原作のもうひとつの注目点は、独特の感性から繰り出されるコメディ・ギャグの面白さでした。現実にある子供たちの日常の行動、その側面を巧みに切り取ったようなエピソードが多く、しかもそれを毎回爆笑できるギャグに仕立てている。比較的最近のエピソードで特に印象に残っているのは、 原作8巻冒頭(アニメ2期2話)で登場した定規落としのエピソードですね。現実でも見られる定規落としという学校の遊びを、オーバーすぎる演出と戦術解説でとことん笑えるエピソードに仕立てている。いかにものんのんらしい1話だったと今でも思っています。

 そしてもうひとつ。これは何よりも言っておきたいのですが、キャラクターの意外なほど現実的と思える行動があります。例えば絶賛人気キャラクターのれんちょん(宮内れんげ)。「独特のセンスから名言(迷言)を次々と繰り出す」極めて個性的で、ある種マンガ的なキャラクターでもあると思うのですが、同時に端々で「あれっ」と思うほど現実の子供を思わせるような行動が見られるのです。これはと思う例は、原作3巻収録の第19話(アニメ1期7話)で、れんちょんが家で待っていた夕ごはんのカレーに興奮し(笑)、家の奥に向かって「ウオー!」と叫んで走っていくシーンですね。これはアニメでは声が付いてかなり強調されていますが、いかにも突拍子もない行動を取る子供らしさが出ていて印象に残っています。

 ここで強調したいのは、この「のんのんびより」自体は、決して現実をリアルに描く志向の作品ではなく、あくまでマンガ(アニメ)的なキャラクターやコメディ中心の、いわゆる萌えマンガの文法に即した作品ではないかと言うこと。にもかかわらず、どういうわけかリアリティというか現実に通じるような描写が端々で見られる。これが非常に面白い。おそらくは、原作者のあっとさんの現実の経験が、作品作りに生かされているのではないかと推測していますが、それが「のんのんびより」ならではの独特の面白さを生んでいると思うのです。

 ようやく、待ちに待った「のんのんびより」の劇場版の上映が迫ってきました。アニメ2期が終了してかれこれ丸3年が経っています。出来ればそろそろ3期を期待したかったところですが、新作アニメの情報で出てきたのは劇場版。これはこれで朗報ですし、内容も1期2期でなぜかやらなかった沖縄旅行の話(原作6・7巻)ということで、やはり楽しみなところは変わりありません。原作はいまだマイペースで続いていますが、最後のアニメ放送からはかなり遠ざかっていますし、ここで今一度この「のんのんびより」の面白さを語ってみることにしました。

 わたしが最初に原作を目にしたのは、連載開始時の2009年にまで遡りますが、真っ先に目を引かれたのはまずその絵のうまさですね。原作者の「あっと」先生の作品は、この連載以前から注目して見ていましたが、とにかく背景含めて徹底的に描きこんだ独特の濃さがあり、キャラクターにも極めて強い存在感があります。「のんのんびより」ならではの個性的なキャラクターの魅力は、このしっかりと描かれた絵から来るところが大きい。田舎の風景を緻密に描く背景美術にも見るべきものがありました。
 アニメでは、このあっと先生ならではの絵の濃さはかなり薄味になり、比較的オーソドックスなカラーの作画になっていますが、これはこれでいい感じの絵になっていますね。大塚舞さんのキャラクターデザインも原作のイメージによくはまっています。

 さらに原作のもうひとつの注目点は、独特の感性から繰り出されるコメディ・ギャグの面白さでした。現実にある子供たちの日常の行動、その側面を巧みに切り取ったようなエピソードが多く、しかもそれを毎回爆笑できるギャグに仕立てている。比較的最近のエピソードで特に印象に残っているのは、 原作8巻冒頭(アニメ2期2話)で登場した定規落としのエピソードですね。現実でも見られる定規落としという学校の遊びを、オーバーすぎる演出と戦術解説でとことん笑えるエピソードに仕立てている。いかにものんのんらしい1話だったと今でも思っています。

 そしてもうひとつ。これは何よりも言っておきたいのですが、キャラクターの意外なほど現実的と思える行動があります。例えば絶賛人気キャラクターのれんちょん(宮内れんげ)。「独特のセンスから名言(迷言)を次々と繰り出す」極めて個性的で、ある種マンガ的なキャラクターでもあると思うのですが、同時に端々で「あれっ」と思うほど現実の子供を思わせるような行動が見られるのです。これはと思う例は、原作3巻収録の第19話(アニメ1期7話)で、れんちょんが家で待っていた夕ごはんのカレーに興奮し(笑)、家の奥に向かって「ウオー!」と叫んで走っていくシーンですね。これはアニメでは声が付いてかなり強調されていますが、いかにも突拍子もない行動を取る子供らしさが出ていて印象に残っています。

 ここで強調したいのは、この「のんのんびより」自体は、決して現実をリアルに描く志向の作品ではなく、あくまでマンガ(アニメ)的なキャラクターやコメディ中心の、いわゆる萌えマンガの文法に即した作品ではないかと言うこと。にもかかわらず、どういうわけかリアリティというか現実に通じるような描写が端々で見られる。これが非常に面白い。おそらくは、原作者のあっとさんの現実の経験が、作品作りに生かされているのではないかと推測していますが、それが「のんのんびより」ならではの独特の面白さを生んでいると思うのです。