「天体のメソッド」5年目の新作エピソード。

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 先日、かねてより告知されていたアニメ「天体のメソッド」の新作エピソードの公開が急に告知され、喜ぶと同時に大いに驚く一幕がありました。告知から数日後にウェブ配信の形で予告どおり公開され、公開直後にTwitterで開かれた鑑賞会も大いに盛り上がるなど、かつてからの根強いファンの存在を改めて知ることになりました。そもそもアニメ本編の放送から4年も5年も経ってから、なお新作エピソード制作の話が出てくること自体、この作品がいかに強く愛され続けているかの証拠だと思います。

 

 「天体のメソッド」の本編が放送されたのは、もう2014年の秋。あの「Kanon」の久弥直樹の脚本ということで事前から話題を集め、かわいいキャラクターや秀逸な作画・演出には安定した評価が集まりました。しかし、序盤からかなり険しい雰囲気もあるストーリーには好みが分かれ、終盤の展開もやや不明瞭で解釈が分かれるところもあり、商業的には大成功とは言えないところもありました。ただ、その分好きな人はとことんまで好きになるような特別な作品でした。あるいは作中の舞台が洞爺湖をモデルにしたことで聖地巡礼的な盛り上がりもあり、それも放送後に長く根強い人気が続いた大きな一因になったと思っています。

 

 そして、そうしたファンにとっては本当に待ちに待った待望の新作。その内容は、まさに本編のその後を描いた後日譚的なもので、その点でかつての視聴者としてはまず感激。本編のエンディングも感動的なものがありましたが、その後の展開は描かれなかったこともあり、それは想像するより他にありませんでした。しかし、ここでその後のキャラクターたちの幸せな日々が描かれることで、ああ本当に良かったと安堵するところまでありました。

 

 中でも、今回登場の新キャラクター・キャロルとかつてのヒロインノエル、このふたりが一緒にかつての舞台を巡るシーンに一番感動しました。これは、ある意味今回のエピソードで唯一の新しいシーンと言えると思いますが、しかし彼女達が思い出の場所を辿ることが、昔の本編の再現にもなっていたのです。これによって、かつてのあの物語は正しかったのだと言われているかのようで、ここでまたも感激してしまったのです。

 

 総じてかつてのアニメの続きを描く新作としては最高の一作で、まさにこれが完璧に望んでいた『天体のメソッド』の新作エピソードだったと思います。この作品には、できればアニメ2期とかさらなる展開を期待してしまうのですが、今はこの30分の新作が見られただけでどこまでも幸せになりました。ありがとうという言葉しかないですね。