ダンベルから遡るトレーニングアニメの系譜。

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 今季の夏アニメでおそらくは最高のヒット作となったダンベル何キロ持てる?」。予想以上に本格的なトレーニング描写と魅力的なキャラクター、毎回笑わせてくれる楽しいストーリー、大人気となったOP/ED曲と、あらゆる意味で楽しめる最高の作品のひとつだったことは間違いないでしょう。


 とりわけ誰もが注目したのが、本気で役に立つ筋トレ知識の数々でしょうか。ジムの器具や自分の家で行える具体的なトレーニングの方法、食事や日常生活で取り組むべき基本的な知識と、毎回感心して見ていました。「サイドチェスト」や「モストマスキュラー」などボディビルの用語が推されているのも特徴で、これでボディビルの見方が変わった気がします。

 

 しかし、こうした筋トレをテーマにしたアニメは、この「ダンベル」以前にもいくつか心当たりがあります。これらの作品も、おおむね好評で当時は一世を風靡したところもありましたし、ある意味今回のダンベルもその系譜を継ぐ決定版と言えるかもしれません。

 

 まず、最初に注目を集めた作品として、2009年に発売されたOVAいっしょにとれーにんぐがありました。テレビアニメではなくOVAで、最初に発売されたのは1巻のみ。しかし、登場する女の子がやたらえろいトレーニングシーンを見せてくれる構成が、その筋のオタクの間で妙な注目を集め、一時期異様な話題を集めてしまったのです。


 24分と短い時間ながら2100円とアニメのOVAにしては安価な点、簡単なトレーニングの紹介ながら実際に役に立つ点、登場する女の子キャラクター(ひなこ)の人気などで好評を集め、のちに続編が制作されるまでになりました。この手の筋トレアニメの嚆矢にして、手軽に買えるOVAとして十分な良作だったのではないでしょうか。

 

 さらに、次にテレビアニメとして話題を集めたのが、2015年に放送されたあにトレ!EX。1話5分と短いショートアニメであり、制作はあのアース・スターエンターテインメント。5分アニメながら毎回詳しく役に立つ筋トレシーンを見せてくれる内容、登場する女の子がやたらえろいトレーニングシーンを見せてくれる構成、登場する5人の女の子が揃ってかわいかった点や声が良かった点などもあり、やはり一部で大きな反応を集めることになりました。好評で続編(「あにトレ!XX」)も制作されるなど、やはりこれも成功だったと思います。


 ちなみにこのアニメ、最初は手書きの良作画でトレーニングを見せていたのが、5話で急に出来のよくないCGとなり、これが大不評で直後にスタッフの間で反省会が開かれるという展開で話題を呼んだことがあります。TwitterなどSNS時代のアニメ制作のフットワークの軽さと、スタッフの良心的な仕事ぶりを象徴する出来事だったと思いますね。

 

 そして、今回2019年になって放送されたダンベル何キロ持てる?」。しっかりした原作マンガが存在し、本格的な30分のアニメで、さらにこの手のアニメで評価の高い動画工房の制作と、まさにあらゆる点でパワーアップ。登場する女の子が無駄にえろいトレーニングシーンを見せてくれる構成はそのままに、街雄という筋トレマニアの名キャラクターをも生み出し、毎回のように楽しい日常描写と時にぶっ飛んだエピソードでストーリーもしっかり楽しめるのも魅力でした。まさにここまでの筋トレアニメの決定版と言っていいと思います。

 

 こうして振り返ってみると、2009年・2015年・2019年と、どうも定期的にこうしたアニメが出てきているような気もします。もしかして忘れた頃にオタクに筋トレをさせようとするアニメが定期的に登場している・・・? そもそも1人でマイペースで取り組め、成果も確実に上がる筋トレは、オタクと親和性が高いらしいですし、こうしたアニメの人気が出るのも必然と言えるかもしれませんね。