今季の伏兵?いや本命!「ライフル・イズ・ビューティフル」

f:id:kenkyukan:20191215213403j:plain


 今季秋アニメもいろいろあったわけですが、この「ライフル・イズ・ビューティフル」に最初から注目していた人は多くなかったと思います。原作は「となりのヤングジャンプ」連載中のサルミアッキさんによる4コママンガ。それは、高校のライフル射撃部の活動をどこかゆるく描く日常系のスポーツものと言える作品でした。

 

 まず、「ライフル射撃」という決してメジャーとは言えない、あまり知られていない競技を正面から扱ったところに興味を抱きました。中でも、彼女達が取り組んでいるのは、実弾を使わないビームライフルによる射撃。室内で標的に向けてビームを放つその競技スタイルは、音は非常に小さく静かで、的を狙う競技者の動きもほとんどない。一言で言えば「地味」とも言える競技で、そうしたスポーツをあえてクローズアップするコンセプトが非常に面白かったのです。

 

 しかし、見た目は地味な競技かもしれないが、長時間的に向かって撃ち続ける競技者に試される技術と精神力は相当なもので、その静かな熱戦を丹念に描くスタイルは、回を追うごとに惹かれるものがあったのです。

 

 しかし、この作品は、決してスポーツ競技を正面から描くだけの作品でもない。むしろ、射撃部に属する女の子たちの普段のゆるやかな学校生活を描く日常ものの雰囲気も大きく、そうした作品が好きなファンの支持も集めました。原作は4コママンガでもあり、きらら系などの日常4コマ的な要素は、確実に大きなものがあると思います。個人的にも、きらら原作アニメ不在で、前のクールにはまったリステ(Re:ステージ! ドリームデイズ♪)も終わって寂しかった秋アニメの大きな福音となりました(笑)。

 

 キャラクター的にも非常に濃い。まずは、主人公のひかりと泉水・エリカ・雪緒の千鳥高校射撃部の個性派4人組。それぞれの個性の魅力はもちろん、彼女たちが部活でも日常でも「一緒にいる時が一番楽しい」感が強く出ていて、そのわちゃわちゃした活動を見るだけで楽しい。


 さらには、彼女たちにとって競技のライバルと言える他校の部員たちも印象的なキャラクターが多い。数多くのライバル高校の生徒たちが登場する展開は、あの「咲-Saki-」や「ガールズ&パンツァー」を彷彿とさせるところもあり、そちらのキャラクターたちにも人気が集まりました。とりわけ伊勢丘高校の部長である「紺野小桜」さんは、実力的にはそれほど突出してはいないものの、その優しい性格と見た目、部員達とのゆるやかな関係で、他校勢の中でも一番人気となっているような気がします。彼女は全国大会にも出場するのですが、ライフル射撃ではこうしたプレイヤーでも全国に行くことがありうるようで、そうした競技の一面を描いたキャラクターとしても面白いと思いました。

 

 制作に当たっているのはStudio 3Hzで、「天体のメソッド」や「プリンセス・プリンシパル」でその実力を存分に見せた実力派制作会社。EDはあの江畑諒真のひとり作画。シリーズ構成・脚本は髙橋龍也で、こちらも大安定のスタッフ。一部の演出には、彼が少し前に全話脚本を行った「となりの吸血鬼さん」に近いものも感じられ、同じ日常ものとして進化した作品ではないかとも思っています。