今季最大の伏兵にして超名作「Re:ステージ!ドリームデイズ♪」

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 今季のアニメはいつも以上に豊作でこれはという作品は多数あるのですが、しかしこのアニメに最初から注目していた人は多くなかったと思います。アニメ初参入にして究極のアイドルアニメ?「Re:ステージ!ドリームデイズ♪」です。

 

 すでに数年前からリズムサウンド系のゲームとして長く活動していたのですが、ここに来てのアニメが面白すぎました。最初は「また新しい新手のアイドルアニメか」くらいの印象で見始めたのですが、1話からなんだか意外なほど面白いなと考えを改め、そしてそれは回を追うごとに確信に変わっていきました。アイドルものの作品としても、あるいは他に様々な側面で楽しめる超良作だったのです。

 

 アイドルものとしては、主人公の舞菜を始めとするメインキャラクター達が、ひとりひとり何らかの事情でアイドルへの道を一度あきらめた、あるいは挫折しかけているという事情があり、そんな彼女達が新たに奮起してアイドルへの道を再開するストーリーになっています。これが「Re:ステージ!」というタイトルの原点にもなっているのですが、ひとりひとりのストーリーがいちいち熱くてほんとに面白い。主人公の舞菜などは、とある事情からアイドル育成本場の本校から、高尾にある分校へと逃げるようにやってきたという事情があり、それがここで新しく出会った仲間たちの力で立ち直り、彼女たちと共にアイドル活動を再開、かつては味わえなかった楽しさをも再確認することになる。他のキャラクターのストーリーもひとりひとり胸が熱くなるものばかりで、このアニメを見てほんとによかったと今になって改めて思います。

 

 しかし、「Re:ステージ!」アニメの魅力はこれだけではない! まず、わたしが最初にこのアニメで感じたのは、意外にも日常ものに近い雰囲気も楽しめることでした。舞菜が高尾校にやってきて最初に出会った部活、その「謡舞踊部」という一見謎の部活で活動を始める姿や、個性的なキャラクターたちが学園生活を送る描写から、きらら系のような日常ものの楽しさに惹かれてしまったのです。実際、そういう雰囲気から見始めた人も多かったようで、それもこのアニメの人気の隠れた原動力になったと思います。

 

 そしてもうひとつ、回を追うごとに判明するぶっ飛んだ展開にも散々笑わせてもらいました。3話でサバイバルゲーム部所属の本城香澄(ほんじょうかすみ)を仲間に引き入れる話で、ガチの描写でサバゲー対決を描いたあたりからそのことに気付き始め、そして5話で新しい曲作りを試みる話で、その香澄と相方のかえがグルービーな謎テンションで盛り上がるシーンで本当にぶっ飛びました。このシーンはのちに運営公式によって編集動画が投稿される事態となり、この公式が本気で遊び心に満ちていることを認識させられることになったのです。また、このふたりや、あるいは特徴的な「みぃ」言葉が顕著なみい先輩(長谷川みい)など、キャラクター自体もはっきり印象に残るほど極めて個性的な女の子ばかりで、こうした型にはまらないキャラクターも大きな魅力だと思います。

 

 物語後半ではさらにライバルとなるアイドルユニットが数多く登場し、そちらのキャラクターと活動の背景も魅力的に描かれ、さらに世界が広がっていくことになります。個人的には2人ユニットのかわいさと楽しさに全力を注いだ活動ぶりのオルタンシアが最高でしたね(笑)。1クールのアニメでここまでの展開を見せてくれたことは本当に驚きで、既存の人気アイドルアニメに匹敵するような名作が、ここにひとつ加わったのではないかと思います。個人的には高尾山を予想以上に細かく描いた聖地巡礼的なアニメとしてもポイントが高い。ゲームの方の展開も堅調なようですし、ここはさらなるアニメの展開も切望したいですね。