なぜ「がっこうぐらし!」なのか。

kenkyukan2017-11-28

 先日発売のきららフォワードで、しばらく休載が続いていた「がっこうぐらし!」の連載再開が告知されると共に、実写映画化の告知が行われました。少し前からフライングでこの情報が飛び交っていて、まさかとは思っていましたが、すぐに公式の告知がされてしまい、これには驚くしかありませんでした。
 マンガやアニメの実写化については、厳しい反応や評価が送られることが常となっていますが、わたしもこの作品だけは少々懐疑的で、すぐに実写化がダメとは思いませんが、しかし「どう制作しても原作マンガやアニメとは違うものになってしまうのでは」という懸念が出てしまいます。すなわち、実写になることで、ごくオーソドックスなホラー、ゾンビ映画になってしまうのではないかという不安です。

 「がっこうぐらし!」の連載が始まったのは2012年。のち2015年にアニメ化され、きらら原作のアニメとしてはかなり珍しい内容で、大いに話題となったのはいまだ記憶に新しいところです。すなわちきらら系作品では定番の日常ものではなく、崩壊後の世界が舞台のいわゆるゾンビ・アポカリプスもののホラーだったことで、大いに物議を醸しました(笑)。

 しかし、そうしたタイプのホラー作品ではありますが、いわゆるサバイバルアクションの要素だけでなく、主人公が学校で日々を過ごす女の子たちという設定もあって、厳しい日々の中でも楽しさを求める日常の姿や、かつて過ごした平穏な日々の回想を懐かしむ、叙情的な側面も大きい作品だと思います。原作者の海法紀光さんも、「ゾンビ物の作品としてすぐ思いうかべるような、バトルアクションものとは異なる路線」「過ぎ去っていく日々を精一杯生きる登場人物たちの学校生活を描く」などの方針が意図されていると語っています。

 これは、ひとつにはマンガやアニメだからこそ出来たこともあると思いますし、これが仮に実写であったとすると、やはりどうしてもスタンダードなホラー、ゾンビ映画的な要素が全面出てしまうのではないかという不安がどうしても拭えない。もちろん、実写映画でもそうした側面を大切に維持する方針でやってほしいと思いますが、果たしてそれが実現されるかどうか。

 また、先に放送されたアニメの出来がよく、原作で描かれなかったシーンをよく補完する練られた構成になっていたことも、実写へのハードルを高くしています。加えて、これまでのマンガ実写化作品を見渡しても、漠然とした傾向ではありますが、「原作マンガ→実写化」よりも「原作マンガ→アニメ化→実写化」の方が、うまく行かなかったケースが多いように感じられるのです。
 これは、先にアニメ化されることで知名度が上がって熱心なファンが増えることで、実写化への目がさらに厳しくなることが理由だと思いますが、この「がっこうぐらし!」の場合、アニメの内容もよく練られてすでに評価されたことで、実写に求められるハードルはさらに高くなっています。アニメのラストが非常に続きが気になる終わり方になっていたことで、実写よりもまずは2期(続編)を求める声が大きいのも逆風でしょう。

 ただ、このようにいろいろと懐疑的な見方をどうしても書いてしまいますが、一方でどんな作品が出てくるのか、怖いもの見たさもあって楽しみにしているところも大いにあります(笑)。いずれにしても、これから先情報が出てくるたびに非常な話題となることは間違いない。公開までそれを見て一喜一憂することになりそうです。