もうひとつのゆるキャン△「mono」。

kenkyukan2018-11-01

 今月の芳文社きらら新刊から「mono」(あfろ)の1巻が発売されました。「ゆるキャン△」のあfろ先生のもうひとつの連載で、こちらは4コママンガ。2017年にきららミラクで連載が始まりましたが、同誌の休刊に伴い、今はきららキャラットで連載されています。今月はすでに「ゆるキャン△」のコミックス新刊(7巻)も出ており、時期を重ねての発売となりました。

 「ゆるキャン△」のテーマがキャンプであるとすれば、「mono」のテーマは写真とカメラ。甲府のとある高校の写真部の女の子と、彼女たちの活動をヒントに新しい連載を始めるマンガ家の日常の活動を描く4コマになっています。前年に部長が引退して2人になってしまった写真部は、部の存続のために映研の部員を引き入れ、4人(ひとり幽霊部員で実質3人)での活動を再開。そんな彼女たちと知り合ったマンガ家のお姉さん(祖母の駄菓子屋に在住)が、彼女たちの活動をヒントに新しい連載を始めるという流れになっています。

 新たな写真部としての活動の目玉は、全天球カメラとドローン(凧)を使った広大なパノラマ写真の撮影。アクションカムと自作の凧を駆使して様々なアングルで撮影する雄大なパノラマは、随所で見開きで描かれ、このマンガ最大の見所となっています。コミックスでは、巻頭カラーで何ページもその写真が見られるのも大きな魅力です。

 さらには、そのカメラを携えての車とバイクでの旅、旅先での食事や温泉といった楽しい活動が、彼女たちの日常となっていきます。このあたりは、作者の趣味性が存分に出たと思われる独特の作風で、先に連載が始まった「ゆるキャン△」とも大いに共通する部分。キャンプこそしないものの、それ以外の活動はほとんどが「ゆるキャン△」と重なっており、おおよそやってることは大体「ゆるキャン△」と同じマンガだと思います(笑)。
 極めつけは、その「ゆるキャン△」の聖地巡礼を行うというエピソードで、作中のほとんどの場所を詳細に巡回しています。アニメ化に合わせた内容だと思われますが、自分の作品を自分で巡礼するというまさに究極の自作自演(笑)。こういう遊び心も大好きですね。

 ここ最近は、こうした旅やグルメのような趣味性が強く出た作品が、ひとつのトレンドになるくらい人気を得る時代になったと感じていますが、そうした作品の先鞭を切る作者によるもうひとつの良作。「ゆるキャン△」は、すでに次のアニメ化が決まっていますが、この「mono」も何らかの形で展開してほしいですね。