「となりの吸血鬼さん」という百合覇権(?)アニメ。

kenkyukan2018-10-18

 ちょっと前にもこの日記で取り上げた「となりの吸血鬼さん」。コミックキューンの本命として、「ひなこのーと」に続いてアニメ化に大いに期待をかけていた のですが、そのアニメの出来が最高に素晴らしいものがあったので報告いたします。いわゆる日常ものとして、4コママンガ原作として、本家であるきらら以上のものがあるかもしれない。

 この「となりの吸血鬼さん」、原作からして過去の作品から影響を受けているところが強く見られ、まあ一言で言えばきんいろモザイクだったり東方(東方project)だったり果てはジョジョだったりするわけですが、アニメでもそれがはっきりと表れていながら、決してそれが抵抗感にはならず、むしろ原点を知りながらも楽しんでしまえる懐の広さを持っていると思うのです。むしろ、こうした日常系・きらら系と呼ばれるジャンルのファンにとっては、待望の作品となっているようです。

 加えて、アニメはとにかくギャグ、コメディの見せ方が良い。「となりの吸血鬼さん」の面白さとして、本来なら非現実のファンタジーやホラーな存在である吸血鬼が、現代の文化に完全に溶け込んで庶民的な生活を満喫している、そのギャップのおかしさがあります。日々深夜アニメを楽しみ、時には作者のサイン会にも赴き、吸血鬼として必要な血液もネット通販で確保、季節によって温めたりアイスにしたりして楽しんでいる。逆に、人間であるはずの灯(あかり)の方が、どこかずれた行動を取る変な女の子として描かれている。このギャップからくるおかしさが、アニメでも1シーンごとに丁寧に描かれ、アニメならではの演出と声でさらにパワーアップしていると思いました。

 それともうひとつ、原作よりも百合要素がかなり強く描かれているのも特徴的ですね。原作ではそれほど強くその印象はなかったのですが、アニメではオープニングからしていきなり百合的なシーンがふんだんに配置されていて、これはちょっと驚きました。本編でも、1話からしてそうしたシーンがかなり大きく描かれている。きらら4コマ的なほのぼのコメディ百合として、その究極にある形だと思いました(笑)。

 同じ百合と呼ばれる作品でも、シリアスなストーリーの要素が強い「やがて君になる」とは対極的なほのぼの日常コメディ。今季は他にも百合と呼ばれるアニメが多く、このジャンルの広がりを感じられる時期になっていると思います。個人的にはどこまでも和んで何度でも楽しめるこの作品はかなりおすすめ。「ひなこのーと」に続いてコミックキューンを盛り上げる大きなきっかけにもなってほしいと思います。