「次にくるマンガ大賞」私的受賞候補を考える。

kenkyukan2018-07-12

 毎年恒例となっている「次にくるマンガ大賞」、すでに投票期間が終わっていますが、8月に来る結果発表の前に、個人的に受賞してほしい期待作品をピックアップしてみたいと思います。毎年「これもうきてる(人気を得ている)だろ」という指摘が絶えない本作ではありますが(笑)、いまだコミックスの巻数が少なく(5巻以内)、アニメ化なども達成していない作品が大半ということで、知名度でいまだ浸透し切っていない期待作の存在を広めるという点で、一定の意義はあると思っています。

 さて、まず個人的に近年ずっとはまっているきらら系作品からは、「まちカドまぞく」「どうして私が美術科に!?」「なでしこドレミソラ」の3作品がノミネートされています。きららには、これからアニメ化まで期待される良作は数多くありますが、その中でとりわけ注目される作品となるとこのあたりになると思います。
 とりわけ、「まちカドまぞく」は、ここ数年で最も注目されている4コママンガでしょうか。魔族と魔法少女、対立するはずのふたりがなぜか仲良くなって交流してしまう日常ファンタジーコメディですが、密度の濃いセリフ回しと背景作画、キャラクターの特異な関係性の変化を緻密に描く内容が秀逸で、4コマ読者の間では非常に高い評価を得て久しい。そろそろこのあたりで受賞を弾みにさらなる展開が望まれると思います。

 最近になってとみに良作が増えたなと感じている電撃系作品からは、電撃マオウ連載の「熱帯魚は雪に焦がれる」を真っ先に挙げたい。情感溢れるセンシティブな心情描写が特徴的な百合作品で、また「水族館部」という実在する個性的な部活をフィーチャーした点でも興味深い一作です。前回上位に受賞した「やがて君になる」「新米姉妹のふたりごはん」に続く電撃期待の百合作品ですね。また、同じ電撃マオウからは、軽快な探偵ギャグコメディ「まったく最近の探偵ときたら」もノミネートされており、こちらも非常に面白いです。
 また、今回は、これ以外のノミネート作品からも「吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん」「将来的に死んでくれ」「私の百合はお仕事です!」などの百合作品が上がっており、このジャンルの広がりを実感することが出来ます。

 KADOKAWAヤングエースから「であいもん」もそろそろブレイクしてほしい作品のひとつ。かつてはエニックスで活躍したあの浅野りんさんの最新作で、京都の和菓子屋を舞台にした浅野さんらしいコミカル&ハートフルなストーリー。登場する色取り取りの和菓子にも目を奪われます。

 メジャーどころで週刊少年ジャンプからは、「Dr.STONE」も挙げておきたい。前回2位に受賞した「約束のネバーランド」と並んで、最近のジャンプの新作では最大のヒットだと思ってます。石化した世界から文明を復活させるというダイナミックな設定、青年誌で活躍していたBoichiによる迫力の作画で有無を言わせぬ面白さがあります。これは間違いなく既にきてるマンガですね。

 自分の扱ってきたスクエニからは、「ジャヒー様はくじけない!」も、すでにかなりのヒットを達成していると思われる人気作品。魔力を失って魔界から人間界へと飛ばされた悪魔ジャヒー様が、魔界を復興させるために日々地道な努力に励むというもの。人間界で生き延びるために必死に庶民的な生活を繰り広げる、そのつつましやかな姿が本当に面白い爆笑ギャグになっています。80円アップした時給に心の底から喜ぶ姿が面白すぎる。スクエニも次に来る作品としてこれを相当推しているようで、今後の展開に注目されますね。