今季最大本命「私に天使が舞い降りた!」

 今季2019年冬アニメで(主に一部クラスタの間で)絶賛放送中の「私に天使が舞い降りた!」(椋木ちなつ)を満を持して取り上げようと思います。原作は百合姫連載のコミックですが、そちらの知名度がそれほど高くなかったこともあって、最初の頃の話題はそれほどでもなかったと思います。しかし、実際には予想以上の出来となっていて、一気に盛り上がることになりました。

 

 その内容ですが、オタクで人見知りだった女子大生・みやこの家に、ある日妹に連れられて天使のような女の子・花ちゃんがやってくるというもの。花ちゃんだけでなく、姉にひたすら懐いている妹のひなた、となりに引っ越してきたハーフの女の子・乃愛(のあ)、彼女たちのクラスメイトで学級委員の小依(こより)と夏音(かのん)と、みんな明るくて人の良い子供たちばかり。まさにタイトルどおりの天使たちで満たされた作品になっています。

 

 特筆すべきは、ただ小学生の女の子と彼女たちに慕われる女子大生のかわいい日常を描くことに集中していて、そこに至るまでの何らかの努力や苦難、暗い境遇などは見られないということ。主人公が何かの努力や苦難を重ねた結果として報われるとか、不幸な境遇で過ごしていたところに天使がやってくるとか、決してそういうドラマではない。主人公のみやこは、オタクで引きこもり気味で人見知りとはいえ、普段は家でのんびり暮らしているようで、特に不幸な境遇ではなさそうです。そんなところに天使のような女の子がやってきてただ家で戯れる、あるいは彼女たちの楽しい学校生活を描くという、楽しさ100%の作品となっている。まさにきらら系や日常系そのままの作風で、そうした作品のファンにそのまま受け入れられることになりました。

 

 百合姫連載の作品としては、いわゆる百合描写は少なめで、強い恋愛や結び付きを描く百合作品とは少し印象が異なるかもしれません。しかし、メインキャラクターの中で学級委員コンビのこよりとかのんの関係は、ドジで先走りしがちなこよりと有能なかのんがサポートするという関係に見えながら、実際にはかのんもこよりに依存しつつふたりで寄り添って仲良く過ごしているという関係になっていて、ここには百合的な関係が垣間見えると思います。

 

 元々、今季の2019年冬のアニメは、久しぶりにきらら原作のアニメが放送されないということで、そうしたアニメを求めるファンには寂しい思いがありました。そんな中で作風が近くて期待できそうなアニメということで、この「私に天使が舞い降りた!」に白羽の矢が立ったのですが、実際の内容が期待以上のものがあったことで、さらに評価が高まった感があります。制作を担当する動画工房は、ひとつ前にも「ウチのメイドがウザすぎる!」という共通感のある内容の原作をアニメ化していて、まさにここの得意中の得意ジャンルの面目躍如。こういうアニメを臆面もなく作り続ける動画工房に心から乾杯したいと思います(笑)。

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