きらら4コマの「2巻の壁」について改めて考える。

kenkyukan2017-10-11

 このところ、まんがタイムきらら系列の4コママンガで、そのコミックスの多くが2巻で完結を迎えてしまう、通称「2巻の壁」について改めて考えることになりました。ここ数カ月ほど、新刊コミックスの発売を追い掛けていて、その2巻完結率の高さを目の当たりにし、さらには自分の好きだった連載が中途で終了を迎えるに当たって、えらく寂しい思いをすることになりました。
 具体的に、ここ7月から10月までに発売されたきらら4コマのコミックスを振り返ってみると、まず7月に2巻が出た3作品のうち2作品が完結、8月には2作品でうち1巻は完結しています。問題は次の9月で、この月は2巻が実に5作品も出ていますが、そのすべてが2巻で完結しています! そして10月。この月は2巻が3作品ほど出る予定ですが、その3つともやはり完結です。
 ついでに来月11月の予定まで目を向けますと、こちらでも2巻が1作品ほど予定されていて、(もう察しが付くと思いますが)これもまた2巻で完結となっています。

 トータルで見て、この7月から11月までに2巻が出るきらら4コマのコミックス14冊のうち、実に11冊が2巻で完結を迎えていることになります。逆に2巻を突破して続巻が出るのはたった3冊しかない。3/14。2巻突破率わずか21%となりました。

 もともと、4コママンガはコミックス(単行本)が出にくいジャンルであり、一昔前はコミックスが1冊も出ないのがむしろ普通でした。それが、時代が下るにつれて次第にコミックスが出るようになり、とりわけ若い読者も多いきらら系の4コマでは、ほかの雑誌よりもコミックスが出る確率がぐっと上がりました。それでも、初期の頃は1巻で完結が一番多かったのですが、最近では少しずつ伸びて2巻まで行く作品が増え、今がその段階に達しているとも考えられます。そう考えれば確かにこれは進歩なのですが、しかしそれでも本当にこれが2巻で終わるのか?と残念に思う良作が多いのも事実だと思うのです。

 個人的には、9月に2巻が出た永山ゆうのんさんの「みゅ〜こん!」の終了は、その中でもかなりのショックでした。一方でぶっ飛んだコメディも盛り込みつつも、コーラス部のまじめな活動ぶりがよく描けた部活動ものの良作だったと思います。きらら作品で長く同人活動を続けていた時から追い掛けていた作者の初連載だけに、これが早い時期に終わってしまうのは本当に残念でならない。

 この10月に発売される「しましまライオン」(はなこ)、来月11月に発売予定の「すくりぞ!」(らぐほのえりか)も、正直終わるのが信じられないような作品です。どちらも連載初期からかなりの評判だったはずなのですが・・・。他にも最近の新作で期待している作品はいくつもありますし、それらが2巻の壁を越えられるように祈るばかりです。