少年シリウス発萌え4コマ─その最終結果報告。

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 アニメ化を達成して話題沸騰している4コマもあれば、あまり注目されずにひっそりを終わっていく4コマもある・・・ということで、今回はかつて講談社月刊少年シリウス、その誌面で始まったいわゆる萌え4コマ3作品、いずれもすでにかなり前に終わっていますが、最後にその連載経緯と結果報告をまとめて書き記しておきたいと思います。

 少年シリウス─現在では「はたらく細胞」とそのスピンオフ、あるいは「転スラ」のコミカライズとそのスピンオフ─あたりが看板になっているようですが、古くは2005年に創刊された雑誌で、ややファンタジーやマニアックな作品寄りの少年誌という位置付けで続いてきたと思います。そんな雑誌で「シリウス乙女部」と称して、きららやぱれっとに掲載されているような4コマ、いわゆる萌え4コマを打ち出してきたのが2017年の初頭。当時はあの講談社シリウス萌え4コマを?とかなり驚いて記事にした記憶があります。

 

 この時始まったのは、高校の日本舞踊部の活動を描いた「にちぶっ!」(石川沙絵)、吸血鬼と高校生の女の子がゴスロリショップを経営する「水曜日の夜には吸血鬼とお店を」(羽戸らみ)、4人の女子高生漫画家の活動を描いた「漫画家ちゃんは眠れない」(ゆあみ)の3本。いずれもスタンダードな(萌え)4コマ的な設定を持っていて、ここまで本格的な4コマ作品を打ち出してくるとは・・・と驚きました。そして、いずれの作品も確かな面白さを持っていて、1年後にコミックス1巻が揃って発売された時にはかなり話題にもなったと思います。

 

 しかし、その後の経緯は芳しくありませんでした。3作品とも2018年5月をもってウェブでの姉妹誌と言える『水曜日のシリウス』へと移籍。最近ではウェブ雑誌はひとつの中心になっているとはいえ、しかしこの移籍に関しては、本誌では人気が伸び悩んだ上でのウェブ雑誌移籍という結果ではなかったかと思います。さらには、その後「水曜日の夜には吸血鬼とお店を」と「漫画家ちゃんは眠れない」は連載終了を迎え、コミックスは2巻で完結となりましたが、その2巻は電子版のみでの刊行となり、紙のコミックスは発売されずに終わっています。これも非常に残念なところで、やはり期待されるだけの売り上げは見込めなかったのかなと思います。

 

 もうひとつ気になるのは「にちぶっ!」のその後の経緯です。他の2作品と同じく「水曜日のシリウス」に移籍したのですが、移籍直後に掲載が突然途絶え、以後完全に立ち消えになってしまいました。コミックスも1巻止まりで2巻の発売はなし。おそらくは作者になんらかのトラブルがあったのではないかと推測しているのですが、実際には不明のままで非常に心配されました。かつて同人でイラストの活動をしていた頃から注目していた人で、個人的には3作品の中でも最も期待していただけに、この結果は非常に残念なところでした。

 

 結果として、3作品ともいまいち振るわないままで早期の終了となり、後継となる新しい4コマ連載が立ち上がることもなく、シリウス萌え4コマ企画はここで終了となりました。4コマ誌でもこれはという連載が打ち切り終了となることが珍しくない今、シリウスという雑誌でまったく新しい4コマ企画を打ち出すのは、いまだに少々ハードルが高かったのかもしれない。きらら4コマのフォロワーとしても期待される、非常に意欲的な試みだっただけに、こういう最終結果になってしまって残念です。