「Memories Off」新作発表とKIDの思い出。

kenkyukan2017-10-04

 先日、MAGES.の志倉千代丸会長のツイートで、あのKIDの恋愛アドベンチャーの名作『Memories Offメモリーズオフ)』の新作の発表があり、かつてのファンを中心に思った以上に多数の反応が見られ、いまだに根強いファンがいることを確認しました。さらには、その志倉さんの手で、かつてKIDが倒産したあとで事業を受け継いだときの逸話が語られ、その時の熱い展開に思わず感動してしまいました。
 KIDは、古くは80年代後半に設立されたゲームメーカーで、当初はアクションゲームやシューティングゲームを中心に手がけ、また90年代の半ばからはPCの美少女ゲームの移植もよく行っていました。それが、99年になって、初めて自社オリジナルのアドベンチャーゲームである「Memories Off」を手がけ、これが非常に大きな人気を得たことで、以後多数のオリジナルのアドベンチャーゲームを出すことになります。

 このときに出たゲームの中では、前述の「Memories Off」シリーズと、「Ever17」に代表される近未来SF「infinity」シリーズが特に有名ですが、それ以外にも多数のタイトルを出していて、一時期は非常に盛り上がりました。それぞれのゲームのファンに加え、KIDのアドベンチャーゲームの熱心なファン層もいて、コンシューマのアドベンチャーゲームの全盛期の一端を築き上げたことは間違いありません。

 しかし、2004年か2005年あたりを境に急に不振となり、肝心のオリジナルの新作がいまひとつで、代わってまたPCの他社のゲームの移植を盛んに行うようになりますが、こちらも評判は芳しくありませんでした。そして、2006年になってついに倒産してしまうのです。

 倒産後はもうKIDのゲームを見ることもないと思っていましたが、しかしKIDのゲームで多数の楽曲を手がけた志倉さんが、自社の5pb.にKIDのスタッフのほとんどを引き受けるという思い切った決断を行い、ここでかつてのスタッフによるゲームがまたリリースされることになりました。かつてKIDによって楽曲の仕事を何度も依頼された志倉さんが、ここで恩返しのようにKIDのスタッフを救った形になったわけで、今回のツイートでその詳しい経緯を知って、また新たに感動してしまったのです。

 そして現在。また新たに新作こそ出るものの、かつてのKID時代のゲームの思い出は遠くなってしまいましたが、そんな時に唐突な「Memories Off」の新作の話。かつてKIDのゲームにはまったプレイヤーにとっては、単に新作が出る以上にうれしいものがあったと思います。MAGES.は、これまでも「シュタインズ・ゲート」を初めとする名作を多数出してきましたが、これからの展開もまた楽しみですね。