SO2というエニックス全盛期。

kenkyukan2017-08-25

 先日、あの「スターオーシャン セカンドストーリー」のとあるキャラクター(というかアシュトン)の名前が、ツイッターのトレンドに上ると言う出来事があり、改めてこのゲームの人気を再確認したのですが、かれこれ20年近く前にこのゲームが発売されたあの時代こそが、エニックスのゲーム部門でも出版部門でも最盛期ではなかったかと少し懐かしく思い出されました。
 「スターオーシャン セカンドストーリー」の発売は1998年7月。前作である「スターオーシャン」からほぼ2年後の発売で、これが制作スタッフのトライエースによる最大のヒット作のひとつになりました。ヒットには様々な理由がありましたが、プレイヤーの工夫次第で一気に攻略が楽になる大胆なゲーム性、徹底的なやりこみ要素、魅力的な数々のキャラクターやSF的な世界観などが挙げられるでしょうか。難易度はかなり高く、「最高レベルでもラスボスが倒せない」というプレイヤーがいる一方で、そんな強敵に挑むプレイヤーたちが攻略談義で盛り上がる。そんなゲームでした。中でも「アイテムクリエイション」(素材から自作のアイテムを作り出すシステム)に代表される奥深いやりこみ要素、キャラクターの個性をさらに演出する「プライベートアクション」(街や村など特定の場所でパーティーメンバーが単独行動するシステム)は、多くのプレイヤーを引きつけるに十分でした。

 そして、ゲームの発売から比較的早い時期に、ガンガンでもこのゲームのコミック連載が始まり、こちらも非常に好評で、ほどなくしてガンガンでも中心的な人気作品になりました。90年代後半においては「まもって守護月天!」や「ツインシグナル」「刻の大地」と並ぶガンガンの看板だったと思います。人気の理由は、なんといってもコミカライズ担当の東まゆみさんによるキャラクターでしょうか。あまりにも人気だったため、原作ゲームの続編である「スターオーシャン ブルースフィア」では、ゲームのキャラクターデザインに抜擢されたほどです。原作のストーリーを随所でアレンジした巧みな再構成や、緻密な作画による魅力的な世界や迫力の戦闘シーンでも光るものがありました。

 そしてこの当時は、このマンガの読者を中心にガンガンを読んでいた読者の間でも、原作のゲームをプレイしてはまっていた人が多かったことも見逃せません。特に、この「スターオーシャン セカンドストーリー」と制作スタッフの次回作である「ヴァルキリープロファイル」は大人気で(こちらもガンガンでコミック連載されました)、マンガとゲーム双方はまっていた読者は、当時本当によく見かけました。あの頃は、ゲームとマンガとその双方において間違いなくエニックスの全盛期だったと思います。

 しかし、長期連載でいまだ好評連載中だった2001年に、あのエニックスお家騒動が巻き起こり、このマンガも中断を余儀なくされます。中断による最終回は、ゲームでもちょうど中盤のクライマックスのイベントとなり、その後のストーリーやキャラクターにはまったく触れずじまいとなっていまいました。お家騒動によって中断されたほかのエニックスの作品は、いくつかが移籍先の雑誌で再開されることがありましたが、この「SO2」に関しては、原作がエニックスのゲームだけあって、最初から再開の可能性はほとんどなく、今に至るまで再開も新展開も何もないのが残念でなりません。中断前は間違いなくガンガンでも1、2を争う人気マンガだったのに、この結末はあまりにも寂しいものがありました。

 今ではエニックス自体もスクウェアと合併して大きく体制が変わり、ガンガンを中心とするマンガ雑誌の体制や作風も大きく変わってしまい、あの頃のことを懐かしく思い出されるばかりです。