冬の「ゆるキャン△」のアニメが最高に楽しみ。

kenkyukan2017-08-10

 このところ、「ブレンド・S」「スロウスタート」「こみっくがーるず」「はるかなレシーブ」ときらら系のアニメ化発表が相次いでいて、どれも楽しみで仕方ないのですが、その中でも冬からの放送が告知されている「ゆるキャン△」(あfろ)にはひときわ注目しているところです。原作はフォワードの連載で、タイトルどおりゆるく活動するキャンプの楽しさを描いた作品。それも、キャンプでは通例シーズンオフとされる冬場でのキャンプの楽しさを全面に描いているところが、極めて特徴的な作品となっています。
 舞台となるのは、ごく一般的な設備と環境が整ったキャンプ場がほとんどですが、しかし寒さ厳しい冬場であるため他に利用者はほとんどいない。いるのは人のいい管理人のみで、簡単な注意事項を守ればあとの行動は自由。気の向く場所に自由にテントを張り、ゆったりとあたりを散策して薪なんかを集め、焚き火なんかで火をおこして温かいものをゆっくりと味わって食べる。周囲を見渡せば広々とした素晴らしいパノラマが広がる。そんなまさに肩のこらない本当にゆるいキャンプの姿、しんどい目標や作業などまったく意識しない、ただただ楽しい活動の姿が存分に描かれています。

 中でも特筆すべきは、キャラクターのひとりであるリンちゃん(志摩リン)の活動ぶりです。彼女は、ほとんどの場合ひとりでキャンプに出かけ、直接的に人と会って一緒に活動することがあまりありません。コミックス最新4巻までの範囲内で、メインキャラクターのひとり・なでしことたまたま一緒になったことが1回、そしてようやく4巻になって、彼女を含む3人の野外活動サークルのメンバーと一緒にキャンプをするまで、基本ずっとひとりでの活動なのです。
 ひとりで自由にバイクを飛ばし、行く先々の食堂や温泉なんかにゆっくり立ち寄りながら目標のキャンプ地にたどり着き、そこでもひとりきままにテントを張って、薪を借りて火を起こし、防寒具をしっかりと着込んでテントのそばでゆったりと過ごす。簡単な調理器具で温かいものをひとり堪能し、周囲の景色を味わう。そんな「孤独のキャンプ」とでも言うべき、何も障壁となるものがない単独での活動の魅力が、どこまでもじっくりと描かれているのです。

 個人的に、これはきらら系の作品でもかなり異色のコンセプトではないかと思います。日常ものにしろ部活動ものにしろ、キャラクター同士が直接会って会話する親しい交流の姿を描く。そういう作品はやっぱり多い気がします。そんな中で、この「ゆるキャン△」のように、キャラクターひとりでの活動の描写が延々と続く作品は、本当に貴重ではないかと思うのです。

 しかし、単独で行動しているからといって、キャラクター同士の交流がないわけではありません。そう、離れていながら、スマートフォンタブレットでの交流の姿が盛んに描かれているのです。離れていても常にそうした手段で人と繋がっている。特にこれはと思ったエピソードは、リンとなでしこが、ずっと離れたキャンプ地にいながら、互いに周囲の素晴らしい景色の画像を送りあうシーンです。自分が感動した素晴らしい景色のパノラマ、それをずっと離れた仲間と共有しあう。このシーンだけはほんとにじんと来てしまいました。
 キャンプ地への進路に迷うリンを、なでしこたち野外活動サークルのメンバーがナビゲートする話もいいですね。カーナビだけでなんとかなると考えるリンでしたが、しかしそれでも離れた場所から寄せられる情報に耳と傾けるだけでも楽しく、さらには時間が押す中で通行止めの道に遭遇してピンチに陥ったときも、なでしこの意外な知識に助けられてキャンプ地へと無事たどり着く。そんな息の合った遠隔交流の姿が描かれる名エピソードになっています。

 わたしは、こうした離れた場所での交流、「こんな場所に行ってるんだ」と知り合い同士がその状況を楽しむような遠隔交流に、ひとつの可能性を見出しています。そんな個人的な期待からも、それがテレビで見られる「ゆるキャン△」のアニメはとても楽しみなのです。