ふあふわ白書

kenkyukan2017-08-09

 2カ月近く前の新刊になってしまいましたが、以前より同人活動で注目していたナナセミオリさんの商業初コミックスが、一迅社より出ました。百合姫掲載の読み切り3作に同人誌からの再録2作を加えた読み切り集。一迅社は、以前より有望な同人作家の作品を拾い上げ、それを商業コミックス化するという試みを何度も行っていて、その活動にも注目しているのですが、今回は特に好きな作家さんだっただけに、そのうれしさは大きかったです。

 ナナセミオリさんは、以前より多数の同人誌を出していて、2次創作ではごちうさラブライブ!まどマギ、少し前には咲-Saki-らき☆すたなど様々なジャンルの本を出していました。さらにはオリジナルの創作本も多く、最近では田舎に帰ってきた女の子の日常を描いたシリーズ作(「あいた〜ん」)も手掛けていて、これも注目して追い掛けていました。しかし、ここに来てまさか商業本が出るとは思わなかった。一迅社ほんとグッジョブ!という感謝しかないですね(笑)。

 収録された5本の読み切りは、いずれも中学生の女の子の百合恋愛を扱ったもの。ほのぼのとしつつ初々しい恋愛の姿がよく描かれていてなんとも微笑ましい。それと同時にちょっと深い事情に踏み込んだシリアスな物語もあり、キャラクターのかわいさに惹かれつつもぐっと読ませる話になっています。

 中でもこれはと思ったのが、2番目に掲載されている「DJカレンにおまかせ!」。放送部でDJをしている女の子・カレンの質問コーナーに、「友達の女の子を好きになってしまった」という質問が寄せられてくるエピソードです。それに対するカレンの回答が、思った以上にずっと真面目なもので、「いきなり拒絶しないでほしい」「真剣に向き合ってほしい」とみんなに訴えかけるものでした。これが同性愛など特殊な恋愛に対する優れた回答にもなっているようで、すごく感動してしまったのです。

 それと、やはりナナセさんの絵は素晴らしい。すごく整った綺麗な絵で何よりキャラクターがかわいすぎる。表紙の絵にまず惹かれてしまいましたが、中身もほぼそのままのイメージになっていて、どの話のカップリングも素晴らしいと思いました。これが1冊にまとまって良かったと思います。