百合姫でしろしさんとひそなさんの新連載。

kenkyukan2018-03-14

 先日より一迅社コミック百合姫で、かねてより注目していた作家の新連載が始まっていて、改めて注目しているところです。今までとはまた一味違う個性的な世界観や雰囲気の連載になっているのではないかと。

 まず、2月発売の4月号より始まった「Roid-ロイド-」(しろし)。アンドロイド百合SFと告知に銘打たれているこの作品、近未来でヒトとロボットが共存している世界での話となっています。かねてより同人でこうした未来世界のSF、あるいはディストピア的な設定を押し出した作品をよく出していたので、いかにもこの作者らしい新連載だと思いました。
 あるいは、ここ最近Twitter上で面白い短編マンガをいくつも公開していたので、それが目に留まった可能性もあります。こちらでは、一時期Twitterで流行った石油王ネタに着想を得たと思われる「石油王JK」など、尖った作風の短編で多くの反応を得ていました。このところ、一迅社だけでなく、Twitterでの投稿マンガが商業化されるケースが増えているので、これもそのひとつではないかと思いました。

 そしてもうひとつ、今月発売の5月号より、巻頭カラーで始まる予定となっているのが「グッバイ・ディストピア」(ひそな)。こちらは、「廃墟を巡る女二人の逃避行」と告知イラストに書かれていて、廃墟という退廃的で魅力的な設定と美しいビジュアルのカラーイラストで一気に期待感が高まりました。  また、この作品の雰囲気や方向性が、かねて同人でもよく手掛けている「秘封倶楽部」の設定を彷彿とさせるところもあり、そうしたタイプの作品の商業進出なのではないかと期待しているところもあります。これは、先月のしろしさんの新連載もそうで、SF的な設定で共通したところがあります。ここに来て秘封の同人作家を続けて起用するとは百合姫ついに始まったかと大いに期待してしまいました。

 折りしも電撃大王の方では、仲谷さんの「やがて君になる」やくま(川浪いずみ)さんの「籠の少女は恋をする」も好評連載中で、こちらも秘封の同人で知られた作家陣。電撃というこれまで百合作品があまり見られなかった雑誌で、こうした作家が起用されて人気を博している点でも、大きな変化を感じていたのですが、本家である百合姫もこれに続く流れが見えるようで楽しみなところ。

 また、先月より少年ガンガンでコミカライズが始まった「裏世界ピクニック」も、ふたりの大学生が怪異を探索するというSF・オカルト的な物語で、こちらもまた極めて秘封的な作品となっているようで、以前から注目していました。実際に読んでみると、ふたりの赴く「裏世界」や怪異の描写が本格的で、水野英多さんの作画も実に安定していて、期待通りの作品になっているようです。こうした作品が、各所で人気を得て広く知られるようになると面白いですね。