「新米姉妹とふたりごはん」テレビドラマ化の話と電撃百合作品を振り返る。

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 先日、電撃大王連載の「新米姉妹のふたりごはん」(柊ゆたかのテレビドラマ化が発表されました。電撃の本格料理&グルメマンガにして百合作品でもあるこの作品、先にアニメ化された「やがて君になる」に匹敵するほどコミックスも売れているようで、さらなる展開を待ち望んでしました。個人的にはやはりこの作品はアニメ化してほしかったな・・・というのが正直なところですが、しかしこうしたグルメマンガが実写ドラマになるという展開は「ラーメン大好き小泉さん」でもありましたし、ドラマ化も出来る作品という認識がテレビ制作サイドにあるのかもしれません。できれば小泉さんと同じくドラマ化からのアニメ化まで期待したいところです。

 

 「新米姉妹のふたりごはん」は、両親の再婚によって姉妹となったサチとあやりのふたりの同居生活を描くコメディ作品。当初は慣れない同居生活に不安を抱えていたふたりが、料理を通じた交流で少しずつ近付いていく絶妙な関係性の描写が魅力です。それと同時に、あやりが日々ふるまう本格的な料理も魅力で、料理マンガ・グルメマンガとしての面白さも十分。そのあたりの百合×料理&グルメという楽しさの相乗効果を、いずれアニメでも見たいと思っています。

 

 さて、今の電撃大王では、この「新米姉妹」だけでなく、数年前から百合作品の連載を積極的に始めていて、他にも有望な作品はいくつもあります。


 まず、上記でも既にタイトルを挙げたやがて君になる」(仲谷鳰。百合関係をはじめ様々な恋愛の形と登場人物の過去をクローズアップしたシリアスなストーリーと、一方で仲谷さんによるコミカルで軽快な作画によるキャラクターの魅力も備えた作品で、連載開始直後から大きな話題を呼ぶことになりました。この作品のヒットが、電撃が百合作品を導入する最大のきっかけとなったと思います。先日のアニメも非常に好評でそちらの続編も待望していたのですが、原作の連載はもうじきの終了が告知されているのが残念なところです。

 

 一方で、つい最近大王で始まった新連載としては、安達としまむら」(入間人間・のん)を挙げたいところです。原作は入間人間さんのライトノベルで、百合恋愛と同時に女子高生のゆるやかな日常を描いた日常もの的な雰囲気も感じる良作。実は以前スクエニの手で一度コミカライズされているのですが、今回電撃大王でまさかの再コミカライズ。のんさんの作画は非常に整っていてかわいらしく、今回も雰囲気は抜群でした。ふたりの間の心理描写も丁寧かつ緻密に描かれていて素晴らしい。そしてついにアニメ化まで決定しており、一気に電撃次の最大の期待作となってきたと思います。

 

 そして新連載をもうひとつ! これまで少年画報社ヤングコミックに掲載されていた「とどのつまりの有頂天」(あらた伊里)が、電撃大王に移籍連載されることが告知されています。こちらも百合で知られた作家による人気作品で、それが百合に力を入れている電撃に移籍とはさらに期待できる展開。こちらでの連載は年内に開始予定とのことで、個人的にも非常にうれしいニュースでした。

 

 そして、これは電撃大王ではなくマオウの連載ですが、「熱帯魚は雪に焦がれる」(萩埜まこと)も、今最も注目される作品だと思います。 高校に転校してきた少女と彼女の先輩との間に織り成される極めてセンシティブなストーリーと、さらには「水族館部」という愛媛の高校に実在する珍しい部活動をクローズアップしたことも特徴的です。その愛媛の長浜をモデルにしたご当地作品としても興味深い一作ではないかと思います。

 

 こうした電撃系の百合作品、これまでに百合とは縁の遠かった雑誌や出版社でも百合作品を掲載する契機となり、百合の世界を広げたという点で、その功績は極めて大きかったと思います。そして、ここに来てさらなる新連載やアニメ化、ドラマ化などの動きも盛んとなってきたようで、さらに楽しみにしたいところです。