スロウスタートというエロアニメを改めて語る。

kenkyukan2018-03-09

 以前アニメ放送の開始時に語った「スロウスタート」。実際にアニメが始まってみると、その内容は期待以上でした。原作の内容を忠実に再現するのみならず、さらに魅力的な多数の演出で、非常に楽しいアニメになっています。そして最初からやたらくっつきたがるアニメかと思っていたのですが、回を重ねるごとにこのアニメの本質が見えてきた気がします。
 まず5話。メインキャラクターのひとり千石冠(かむり)が、スカートを穿き忘れて学校に来るというぶっ飛んだ展開。ちょっとどういう意味か分からない話ですが(城下町のダンデライオンにもあったとか言わない)、原作にもそのままあるエピソードで、アニメでは主人公の花名の戸惑いぶりがえらくはまっていて、より笑えるエピソードになっていました。

 そして7話。「ぐるぐるのてくび」というサブタイトルどおり、キャラクターのひとり栄依子が手首を縛られた状態で、先生の部屋に転がっているという驚きのエピソードを展開。先生(榎並先生)とのその後の会話劇も非常に面白く、高度な百合関係を存分に見せてくれました。これもまた原作で非常に印象的だった話なのですが、アニメでは声と間の面白さが加わって非常に濃いものになっていたと思います。栄依子さんはとりわけ登場が多くみなに愛されるキャラクターなのですが、これでその魅力が存分に出ていたと思います。

 さらに9話。いわゆる「水着回」とも呼ばれる回で、みんなが集まって水着になって楽しむというエピソード。原作では実際には泳ぎに行かず、部屋で水着になって和気あいあいとするエピソードなのですが、アニメではさらにシーンとキャラクターを追加。近くの室内プールへと泳ぎに行くシーンが追加され、さらにはなぜかやたらえろいエステシーンまで追加され、さらに素晴らしい内容になっていたのです(笑)。ひとつひとつのシーンやセリフもいちいちエロいものばかりで、制作者の異様な意気込みを感じることが出来ました。

 こう書くとどうかと思ってしまいますが、実際に本当に制作者のこの作品への愛、思い入れを感じる作りになっていて感心してしまいました。クラスメイトたちが多数登場する8話もそうで、数多くのサブキャラクターたちをひとりひとり丹念に魅力的に描いている。このアニメの特集記事で、「ひとつひとつの検証の積み重ねが、『スロウスタート』のあたたかみを形成する」というタイトルの記事があったのですが、まさに全力を込めてこのあたたかく優しい世界を描いている。きらら4コマの中でも、原作者の篤見さんの感性は極めて個性的なものがあると思っていますが、それを実によく再現しつつさらに魅力を高めていると思いました。とても恵まれた幸せなアニメ化だったと思います。