「ドージンワーク」から「アホガール」までヒロユキ作品を振り返る。

 今季も前から期待していた原作付きアニメは多かったのですが、その中でもこのヒロユキさん原作マンガの「アホガール」が、一部で異様な反響を獲得していて驚いています。以前からヒロユキ作品はいろいろ読んでいて、この原作マンガも知ってはいたのですが、まさかアニメでここまで注目されるとは思いませんでした。「アホ」キャラであるヒロイン・よしこを中心に、個性的すぎるキャラクターたちによる強烈なボケとツッコミのテンポが素晴らしく、確かにこれはアニメで一層面白くなったと思いました。
 作者のヒロユキさんを最初に知ったのは、2004年にまんがタイムきららキャラットで始まった「ドージンワーク」ですね。きらら系でも最初期からの人気連載で、当時はかなりの反響があったと記憶しています。今に通じる強烈なキャラクターによるおバカなギャグ・コメディと、そして同人誌の制作や同人誌即売会を描いたことが特に注目されました。当時から「げんしけん」のようないわゆる「オタク」をネタにしたマンガがいろいろ人気を集めていたのですが、その中でも同人活動というコアな趣味を描いたことが特に評判だったと記憶しています。

 2007年にはアニメ化もされ、きらら系では「ひだまりスケッチ」に続くアニメ化だったのですが、なぜかアニメのBパート(後半)が、実写で声優たちが同人誌を作るという謎の企画となっていて、これはかなり微妙でした。アニメ自体の評価にも響いたようで、普通にアニメ化していればよかったと思います。
 また、アニメ化まで行ったとはいえ、その作風はやはりきらら系列の中ではやや異色で、特に強烈すぎる男性キャラクターによる強烈なギャグは、かなり雰囲気を異にしていました。この作風は、やはりのちのきららには受け継がれなかったようで、今となってはちょっと懐かしいなと感じています。

 そのドージンワーク連載中の2007年、スクエニのガンガンで開かれた4コマ競作企画で掲載された読み切り「マンガワーク」が好評を博し、翌2008年より「マンガ家さんとアシスタントさんと」とタイトルを変えてガンガンとヤングガンガンで連載されることになります。最初のタイトルからも分かる通り、ドージンワークをそのままプロのマンガ家にしたような設定でしたが、アホなマンガ家をサポートするアシスタントや編集者の苦労ぶりが面白く、こちらも人気を博することになりました。これものちにアニメ化され、ショートアニメながらその切れのいいギャグで非常に好評でした。最初の連載は2012年に終了するものの、2014年のアニメ化に合わせて「2」のタイトルでしばらく復活連載されました。当時からスクエニが力を入れていた4コママンガの中でも、かなりの長期連載で最大の成功作だったと言えるでしょう。

 さらにその「マンガ家さんとアシスタントさんと」の連載終了後、2012年より今度は講談社週刊少年マガジンで、今話題中の「アホガール」の連載を開始。のちに作者の体調不良とスケジュールの調整で別冊少年マガジンへと移籍するものの、連載自体は堅調でこれも長期連載となっています。これで、「ドージンワーク」「マンガ家さんとアシスタントさんと」「アホガール」と、3つの連載作品が全てアニメ化されていることになります。しかも、芳文社スクエニ講談社と、それぞれ連載先の出版社が違うのもすごい。いずれもおバカなキャラクターが強烈なギャグを繰り広げるという作風は共通していて、ある意味まったく変わってないな・・・とも毎回思ってしまうのですが、しかしその安定した仕事ぶりはやはり素晴らしく、今回のアニメでそれを再確認することになったと思います。