今年最高の覇権アニメは間違いなく三ツ星カラーズ(強調)。

kenkyukan2018-12-23

 あの「三ツ星カラーズ」の原作コミックス6巻の発売を受けて、今年最後にもう一度改めて、今年最高のアニメは年初の冬アニメで放送された「三ツ星カラーズ」であると主張しておきたいと思います。

 今年も様々な良作アニメはありました。年初から異様な注目と話題を集めた「ポプテピピック」、圧倒的な人気と支持を集めた「ゆるキャン△」「宇宙よりも遠い場所」、幅広い層に評価された良作「はたらく細胞」、この秋からは思わぬ伏兵「ゾンビランドサガ」を筆頭に「SSSS.GRIDMAN」「ゴブリンスレイヤー」など数多くの話題作・良作に恵まれました。しかし、そうした豊作ラッシュを差し置いてもなお、2018年の個人的1位は、「三ツ星カラーズ」であると改めて結論せざるを得ませんでした(もうひとつ「となりの吸血鬼さん」も非常に捨て難い候補なのですが、泣く泣くひとつに絞るならやはりカラーズ)。

 一般的に見れば、それほど幅広く人気を集めた作品とは言えなかったかもしれません。むしろ当初から賛否両論が多かったと感じました。やはり主人公である小学生3人組が、いわゆるクソガキと呼ばれるほどの悪ガキであり、上野の街で自由奔放に遊ぶその姿は、他の日常コメディにはないアクの強さになっていたと思います。
 しかし、そのコメディの内容は、毎回思わず笑ってしまうほど最高に面白い。また、屈託なく日々遊ぶ子供たちと、彼らを笑って見守る周囲の大人たちという、その登場人物たちを取り巻く構図に、大いに惹かれるものがありました。そこには、常に子供たちの目線に立って、時には子供たちと一緒に遊ぶ、上野の街の寛容な大人たちの姿があったのです。

 舞台となる上野の街の描写も秀逸なものがありました。街の細部まで描写する緻密な描き込みがほんと素晴らしい。上野駅、上野公園、アメヤ横丁、上野動物園国立博物館といった名所が頻繁に登場し、実在の店をモデルにした店舗もたびたび舞台となりました。街角をダイナミックに駆け回る子供たちの姿から、カラーズが守る平和な上野の街の魅力が存分に感じられたのです。

 個人的には、その舞台を訪れる聖地巡礼的な楽しみも、抜きん出たものがありました。こうした聖地巡礼でよく見られる楽しみとして、作中で登場するカットの場所を現実で特定する楽しみがあります。しかし、「三ツ星カラーズ」の場合、こうした個々の場所の特定を行わずとも、ただ上野の街を歩いてそこの空気を感じるだけで楽しいと感じました。今にもそこの街角からカラーズたちが出てくるかもしれない。そんな子供たちの幻影を追い求めて、つい何度も上野の街を訪れてしまう。そんな魅力がカラーズにはあったと思うのです。

 先日も、秋からのアニメ作品である「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」12話において、主人公と妹が訪れる形で上野動物園が登場し、これにはカラーズ視聴者の間で大きな反応がありました(笑)。上野の街が出ればいつでも三ツ星カラーズを思い出す。そんなカラーズクラスタは常に遍在している。今でもカラーズの姿を追い求める熱心なファンを多数抱えているという点でも、今年一番ではないかと思いますよ。