「ふたつ屋根の下」はいいぞ。

kenkyukan2018-07-18

 「やがて君になる」に「新米姉妹のふたりごはん」、最近では「熱帯魚は雪に焦がれる」と、電撃からの期待の百合作品が幾つも出ていますが、ここでもうひとつ百合(だと思われる)作品の新作を取り上げたいと思います。電撃だいおうじで連載中の4コマ「ふたつ屋根の下」(ほなみ彩)です。

 その内容は、タイトルからも類推されますが、高校生の双子姉妹・いちかとひとはとそのお隣さんのユイの日常の生活を描いた日常4コマです。双子の妹・ひとはは、のんびり屋で食べること・寝ることが大好きなぐーたらな性格(でも料理にはこだわりがあって得意)、対して姉のいちかは、オシャレ大好きな今ドキ女子ながらどこか抜けたところがあって、家の中ではやはりくだぐだした生活になっています。そんなふたりを何かにつけて面倒を見るのがお隣さんのユイで、寝坊するふたりをなんとか起こして遅刻しないように学校に連れて行くのが日常の光景。

 そんな和気あいあいとした3人の日常の関係性が、作品最大の魅力です。ひとはといちかは、その性格の微妙な違いから何かにつけて言い争いの喧嘩をしていますが、基本的にはとても仲は良い。そんなふたりの間に入ってお世話をするユイは、基本的には頼りになるものの、ふたりの思わぬわがままからいつも振り回されがちで、わたわたする姿がとてもかわいい。

 学校はもちろん家でのご近所付き合いも親密で、しょっちゅう互いの家にやってきてたまには一緒にお泊り会をやることも。ゴキブリが怖くて隣の家に逃げ込んだユイが、そのまま双子の部屋でお泊りすることになり、ユイを真ん中にして3人で並んで寝るエピソードなど、安心感もあいまってその幸福感半端ないです。「二人がお隣さんで本当によかったな」というユイの言葉が身に沁みました。

 2人の関係性を追求する百合作品もいいですが、こうしたわだかまりのない親密な仲の3人の関係性を描く作品というのも、幸福感ありすぎてとてもいいと思いました。かわいい絵のご近所日常交流コメディとして、電撃ながらきらら系にも通じる萌え4コマ作品の新作としても期待したいと思います。