鳴見なる先生の連載履歴を振り返る。

kenkyukan2018-01-25


 今季のアニメから「ラーメン大好き小泉さん」もかなりの評判になっていますが、原作者である鳴見なる先生について知っている人はそれほど多くないと思います。かつてはスクエニからデビューした連載作家で、最初の連載から気に入って注目していましたが、いつの間にか随分と活動も長くなっていました。今回の小泉さんアニメ化を契機に、これまでの連載を振り返ってみたいと思います。
 鳴見さんのデビューは、かつて休刊したスクエニガンガンWING。2005年に同誌のマンガ賞を受賞したことをきっかけに、翌2006年より最初の連載である「東京★イノセント」を開始します。東京へと嫁探しに出てきた白狐の少年・半蔵と、物の怪に取り憑かれる体質となってしまった女子高生・メイを中心としたラブコメ×妖怪ものといった感じの作品でした。妖怪ものながらかわいい雰囲気の明るいコメディで、とてもガンガンWINGらしい作品だったと思います。当時のWINGは、他にも何本も新連載を打ち出していましたが、成功したものは多くなく、その中でも数少ない有望な作品でした。
 しかし、WINGはその後さらに不振となり、2009年にはついに休刊。この「東京★イノセント」は、休刊後に当時創刊していたガンガンONLINEへと移籍する形となり、そちらでまもなく完結を迎えています。コミックスは全9巻。雑誌がもうちょっと奮っていればまた展開も変わっていたかもしれませんし、今でもちょっと惜しかったなと思っています。

 そして、同時期にそのWINGの休刊と入れ替わって創刊された後継雑誌・ガンガンJOKERで、新連載「絶対†女王政」を開始。共学となったばかりのお嬢様学校で「女王」として君臨する少女とその秘書官に任命された少年を中心にしたコメディでした。雰囲気や絵柄的には前作の「東京★イノセント」と近いものも感じましたが、こちらはいまひとつ成功できなかったのか、1年という短い連載期間で終了。コミックスも2巻で終わっています。

 その後の鳴見さんはスクエニを離れ、KADOKAWAヤングエースで2011年より「JA 〜女子によるアグリカルチャー〜」の連載を開始。共同作者だった唐花見コウさんの出身地である長野県の小川村を舞台にした農業マンガで、同村の風景をかなり忠実に再現し、農業関連の知識もふんだんに盛り込むなど本格的な内容。作品はこの村公認の扱いも受けています。農業関連の作品としては、あの荒川弘先生の「銀の匙」や「百姓貴族」、アニメ化もされたライトノベルのうりん」などよく知られた作品が他にもありますが、これも中々のものがあったと思います。2014年まで続く連載となり、コミックスは全8巻。

 さらに、このJA連載中の2013年より、竹書房まんがライフSTORIAにてあの「ラーメン大好き小泉さん」の連載を開始。内容についてはもはや説明の必要もなさそうですが、作者のラーメン愛に溢れたラーメン薀蓄と、ラーメン大好き女子高生・小泉さんと周囲の友人たちのラーメンを通じた交流が楽しすぎるコメディとなっています。しかし、「東京★イノセント」から知っていた自分としては、鳴見さんがこういう作品でヒットするとは意外でもありました。

 また、この小泉さんとほぼ同時期に、2014年からヤングエースで「渡くんの××が崩壊寸前」の連載を開始。のちに2015年より講談社ヤングマガジンへと移籍されて現在も好評連載中となっています。ちょっとシリアスで重いところもある学園コメディで、こちらの方がかつての鳴見さんの作品に近いところはあるかもしれません。

 気が付けば2006年の初連載からはや12年。スクエニの新人作家としてデビューした頃から、今では多数の出版社に活躍の場を移し、いつの間にかベテランとも言える作家になっていました。これからの活躍にも期待したいと思いますね。