きららミラク休刊に際して。

kenkyukan2017-10-19

 先日、あの「まんがタイムきららミラク」の休刊が正式に告知されました。1カ月か2カ月ほど前から、急に連載終了が増えたことで「休刊するのではないか」と界隈で一気に話題が持ち上がり、さらには今月初めにフライング的に休刊の情報が入ってきたことで、ある程度予想はしていましたが、それでもこれはかなりのショックでした。これまで順調に発展してきたきらら4コマ誌のひとつが、アニメ化作品もいくつも出してきた雑誌がなくなるのは大きい。
 「まんがタイムきららミラク」の創刊は2011年。「まんがタイムきらら」系列の4コマ誌としては、「きらら」「きららキャラット」「きららMAX」4番目の雑誌になります(4コマ雑誌以外も含めればフォワードやカリノもあります)。しかし、他の3誌が2002〜2004年までの最初期に創刊されているのに対して、このミラクは2011年とずっと遅く、他とは創刊の経緯で一線を画するところがありました。

 雑誌のコンセプトとして、当初から「もっと自由に4コマを」のキャッチフレーズを打ち出し、4コママンガとしてより斬新な表現を求めたのが特徴的でした。具体的には、従来の4コマではあまり見られなかった大胆なビジュアル・演出や、ストーリーや世界観重視の方向性が挙げられます。ここからアニメ化された作品を見ても、毎回キスをするという百合表現で大きな話題になった「桜Trick」(タチ)、食や料理にスポットを当てた「幸腹グラフィティ」(川井マコト)、能力持ちの国王一家の生活を描く「城下町のダンデライオン」(春日歩)、和風の世界での占い師を目指す少女の姿を描く「うらら迷路帖」(はりかも)と、世界観や設定に特色のある濃い作品が多いと思います。

 個人的には、お菓子と女の子をテーマにした「スイートマジックシンドローム」(CUTEG)、19世紀アイルランドで妖精と人間の少女の交流を描いた「アンネッタの散歩道」(清瀬赤目)あたりも好きでした。また、「うらら迷路帖」のはりかもさんの前作で創刊号からの連載「夜森の国のソラニ」も絶対にはずせないところです。4コマの枠を縦にぶち抜いて描かれる高さと奥行きのある森のビジュアルは、最初に目にした時には新鮮な衝撃を受けました。ミラクの目指す自由な4コマ表現を代表する存在だったと思います。

 しかし、こうした特徴的な作品を多数生み出したものの、ほかのきらら姉妹誌と比べると、人気や知名度でやはり一歩引いたところはあったと思います。また、こうした姉妹誌の連載からも、ファンタジーな世界観が特徴的な大人気作品「ご注文はうさぎですか?」や、ゲーム会社の仕事を描いた「NEW GAME!」など、ビジュアルや設定面で特徴の強い作品が人気を得るようになり、相対的にミラクならではのコンセプトが目立たなくなったところもあったかもしれません。しかし、今回の休刊で「しましまライオン」(はなこ)や「ビビッド・モンスターズ・クロニクル」(キキ)など、望まぬ形での早期終了を余儀なくされた作品もあったようで、やはり残念な決定でした。ただ、「うらら迷路帖」や「城下町のダンデライオン」など、半分以上の連載が他誌へと移籍継続されるのは幸いで、これからの経緯を見守ることになりそうです。