「ゆめのロワイヤル」でギャンブルの楽しさを体験しよう!(?)

kenkyukan2016-12-08


 先日コミックキューンから「つくろぐ。」を紹介したばかりですが、今度は同日にコミックス1巻が発売された「ゆめのロワイヤル」(むらさき*)を紹介したいと思います。「つくろぐ。」は、女子高生の下宿先での楽しいものづくりライフを描いた4コマですが、この「ゆめのロワイヤル」は一転して女子高生がギャンブルを行う異色4コマとなっています。
 ゆめの・かづき・まなの3人の女の子が入学した高校・梶野女学院は、学園で行われるギャンブルで稼いだチップですべてが決まる学園だった。衣食住すべてにおいてチップが必要、進級・卒業にもチップが必要、なくなれば退学という一見とんでもない設定ですが、しかし作品の雰囲気はそんなに悪くありません。基本はほのぼのかわいい4コママンガで、主人公たちも日々生活の必要に迫られながらも、しかしギャンブルや学園生活を存分に楽しんでいる姿も見られる、明るい学園コメディものになっていると思います。

 学園で行われるギャンブルは、チンチロリンブラックジャックに麻雀と多種多様なゲーム。まったくの初心者だった3人は、ルールを覚えながらもライバルとなる生徒たちにチャレンジしていくことになります。キャラクターたちの明るい性格もあって、ゲームの様子は基本にぎやかで和気あいあいとしたシーンも見られますが、しかし本気でチップを賭けての対戦はやはりシビア。その一戦一戦の緊張感と、そして3人の仲間が力を合わせて立ち向かっていく熱い信頼感も見られる対戦シーンになっています。

 もうひとつ、「ゲームそのものの楽しさ」が丁寧に描かれているのも魅力だと思います。キャラクターたちが普通の女の子ということもあって、他のギャンブルもののような心理戦や駆け引きの描写はそれほどでもないと思いますが、反面完全なゲームの初心者である彼女たちが、少しずつゲームの楽しさを覚えていく様子が丁寧に描かれているのです。とりわけ面白かったのが、学園の先生がディーラー役となるブラックジャックに挑戦するエピソード。彼女からひとつひとつゲームのルールを丹念に教えられ、楽しくゲームの遊び方をマスターしていく。同時に読者もゲームのルールをひとつひとつ教わることが出来るいいエピソードだったと思います。

 学園でギャンブルと言っても、先行する「賭ケグルイ」のようなひどすぎる人間描写や殺伐とした心理戦の要素はあまりなく、あくまで楽しさに裏打ちされた4コママンガになっているところが、この「ゆめのロワイヤル」のオリジナリティであり最大の魅力かと思います。「明るく楽しいギャンブル4コマ!」としてこの作品を強く推していきたい!

 作者のむらさき*さんは、かつてはまんがタイムファミリーで「ゆーたいプレイ」というヒロインの女の子が幽霊のコメディ4コマを連載していました。しかし、かなり長い連載だったにもかかわらず、結局コミックスが出ず、かなり残念な思いをしたことがあります。ゆえに、今回の「ゆめのロワイヤル」で、待望のコミックスが出たことは本当にうれしい。むらさき*さんの描く女の子はとてもかわいく、今回もそのかわいい絵柄は健在。話が進むと百合っぽい展開にもなったりして、今回はそうした要素も楽しめるのではないかと思います。まさに待望の商業初コミックス。最近のコミックキューンの中でも一押し作品のひとつです。