これは面白い! 浜弓場双新連載「小さいノゾミと大きなユメ」。

 

 先月発売の講談社モーニング・ツーから浜弓場双さんの新連載が始まっています。双さんと言えば最近は「ハナヤマタ」に「おちこぼれフルーツタルト」と芳文社での人気連載が長く続いていますが、しかし以前は電撃で「ToHeart2」のコミカライズを連載していたり(「ToHeart2 AnotherDays」)、あるいは白泉社で方でもエロゲーのコミカライズを連載していたり(your diary)、あるいはライトノベルや児童小説でイラストの仕事を多数手掛けていたり、意外なほど幅広く仕事を手掛けているので、今回のモーツーでの連載も、それほどの驚きはなかったかもしれません。しかし、その新連載の内容は、思ったより意外性があって非常に面白いものでした。

 

 新連載のタイトルは、「小さいノゾミと大きなユメ」。タイトルどおり、望実と由芽というふたりの女の子が主役となっていて、さらには望実の方は、何らかの理由で手のひらサイズの非常に小さな身体となってしまっています。


 そんな身体で野外を放浪した末に迷い込んだのは、ゴミ屋敷と化した由芽の部屋。実は、由芽はとある理由で引きこもりのニートとなってしまい、散らかり放題の部屋で日々酒を飲んでは寝てすごすダメな大人になっていたのです。そんな部屋でなんとか生き延びようとする望実は、しかし机の上によじ登って寝床を確保しようとするだけで四苦八苦。冗談でなく命の危険にさらされるような小さな大冒険を繰り広げることになります。

 

 一言で言えば「汚いアリエッティと言えるような内容で、むしろそうとしか言いようのない内容でした(笑)。机の上から眺める光景は一面がゴミの山で物理的に汚い。郊外の瀟洒で美しい屋敷ではなく、都会のゴミ屋敷で繰り広げられるファンタジー。あるいはコメディとして非常に面白いと思いました。

 

 もうひとつ面白いのは、新連載1話は望実が主役で彼女の視点で語られるものの、2話では一転して部屋の主人である由芽の視点となり、彼女がこういう生活を送ることになった事情と、物陰で動き回る望実に正体不明の恐怖を感じて怯えまくるリアクションが、最高に面白い話となっています。言わば視点の異なるふたりが共に主人公のダブルヒロイン形式。1話と2話が対になっている構成もいきなり面白くて、のっけから作者のマンガ力の高さを感じてしまいました。

 

 作画が比較的以前の絵柄に戻ったように感じるのも個人的には高評価でした。実は、ハナヤマタの初期以前とここ最近では作者の絵柄がかなり変わっていて、以前の方が好きだったので、今回の連載はその点でもかなり好みですね。ハナヤマタ終了以来のストーリーマンガの新作としても期待したいと思います!

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