「モーニング・ツー」期待の新連載3作品。

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 半年ほど前から講談社の「モーニング・ツー」でこれはと注目する作品が幾つも出ていたのですが、この度先月と今月に揃ってコミックス1巻が発売されたので、これを期にまとめて紹介してみたいと思います。

 

 まず、先月10月(23日)にコミックス1巻が発売された「珈琲をしづかに」(みやびあきの)。みやびさんと言えば、かつて1年前に芳文社フォワードの連載「なでしこドレミソラ」が思わぬ最終回を迎えていたのですが、その後講談社のモーツーで連載が決まったようで、まず次回作が始まったというだけでうれしいものがありました。

 

 タイトルどおりとある喫茶店を舞台にした物語で、高校生の男の子が学校で噂になっていた喫茶店を訪れ、そこで出会った女性マスターに惹かれて懸命に店に通うようになります。大人の女性に惹かれる恋愛ものでもあり、あるいは高校生の男の子が大人を目指して奮闘する成長の物語かもしれません。あるいはしづと呼ばれるマスターは過去に何かしら事情を抱えているようで、その秘密を追うストーリーにも惹かれます。
 これまでのみやびさんの連載ではあまり見られなかった、大人たちを主役にしたストーリーと趣きある喫茶店の落ち着いた雰囲気も魅力で、心地よい読後感に満たされました。珈琲や喫茶店のちょっとした知識が織り込まれるのもいいなと思います。

 

 次いで、同日にこちらもコミックス1巻が発売された「小さなノゾミと大きなユメ」(浜弓場双)。こちらは一度連載開始時に取り上げているのですが、突然小さな身体になってしまった女子高生・望実が、ひきこもりニートの大人の女性・由芽の部屋に入り込んで小さな大冒険を繰り広げる物語となっています。なんというか最近の双さんの連載らしい、ちょっと(かなり)エッチで不健全でドタバタ感に満ちた最高に楽しいギャグコメディですね。望実と由芽、双方の視点から語られる構成や、大冒険の舞台となるとっ散らかった部屋の描写も巧みで、作者のマンガ力も存分感じられる一作だと思います。

 

 そして最後に、今月11月(22日)にコミックス1巻が発売された「四ノ宮小唄はまだ死ねない」(大槻涼樹・りいちゅ)。かねてよりイラストが好きだったりいちゅさんのコミック初連載ということで注目していましたが、コミックでも変わらぬ綺麗な作画で驚きました。
 肝心のストーリーですが、「死んでいるのになぜか生きている」存在となった探偵助手の主人公(小唄)が、雇い主の女子高生探偵や協力する刑事たちと共に、同じ境遇となった死者(ボーダー)絡みの事件を捜査・解決するミステリーとなっていて、こちらも興味深いですね。ゾンビやリビングデッドのような存在が、現代において法的にも社会に認められる存在となっている設定が面白い。死んだ後は保険も適用されず仕事に就くのも難しく、死んでもなお「生きる」ために多額の金が必要だという話も、なんとも切ないものがあります。

 

 これらの新連載に共通していると感じる点は、まず女の子、女性キャラクターがかわいいということ。すなわち、これまでそうしたジャンルで人気を得ていた作家が、積極的に招聘されて連載を始めているようで、ここ最近のこうした「モーニング・ツー」の動きは見逃せないものがあると思います。「聖☆おにいさん」やオノ・ナツメ作品、「とんがり帽子のアトリエ」とは一味違うモーニング・ツーに注目だ!