現在のガンガンの誌面を紹介してみる。

 かつて「鋼の錬金術師」が終了を迎えた後、ガンガンの部数が2万部を切ったことが話題になったのももう5年以上前になりました。今ではさらに部数は落ちていると思われ、その雑誌の内容、連載マンガについて話題になることもほとんどなくなりました。もう実際に読んでいる人、毎月買って追いかけている人も、非常に少なくなっているのではないでしょうか。そんなかつてガンガンを読んでいたが今は離れてしまった方のために、今のガンガンがどうなっているのか、一応毎月購読している自分なりに紹介してみたいと思いました。

 

 まず、一応今の連載の主流となっているのは、ガンガン的なバトル・ラブコメ・ファンタジーといったところでしょうか。最新号でアニメ化が告知された「戦×恋(ヴァルラブ)」や、あるいはちょっと前に話題となった能力バトル「無能なナナ」が、その代表でしょうか。どこかダークな設定やストーリーを持つ作品も多く、今のひとつの流行りかもしれません。ただ、あまり印象に残らないで終わる連載が多く、かつての人気マンガのように広く知られることは少なくなりました。これが、今のガンガンの不振・限界を象徴していると思います。

 

 しかし、そんな中でも、これはと思える連載はいくつかあります。まず、10年以上前から続くとある魔術の禁書目録のコミカライズ。近年はさらに作画技術や演出に磨きがかかり、安定した連載が続いています。かなりいまいちな出来だったアニメ3期より、こちらの方が面白いのではないかと思います。
 近年アニメ化を果たした「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」も安定してますね。ガンガンの中でもごく少女マンガ的な作品ですが、4コマコメディとして毎回楽しく笑わせてくれます。matoba先生の綺麗な絵も非常に映えますね。

 

 最近の新作では、あの「スパイラル」の水野英多さんが作画を担当する「裏世界ピクニック」はかなりの期待作です。都市伝説の怪異をテーマにしたオカルトホラー・ミステリーで、主人公2人の関係性にも見るべきものがある。「スパイラル」から続いていた城平京作品の後を継ぐガンガンのミステリー枠として、これには頑張ってほしいと思いますね。水野さんの作画も変わらず安定していますし、怪異の不気味さも非常によく描けている。
 もうひとつ、最新の新連載で「ばらかもん」の最終回を迎えたヨシノサツキの次回作「ヨシノズイカラ」。これは本当に面白いです。「ばらかもん」が離島の田舎での書道家の活動を描く話なら、こちらは島で活動するマンガ家の話。画材を揃えるのにも苦労する田舎ならではの苦労や、そんな場所でも等身大のオタクライフを楽しむ若者たちの姿に、非常にリアルなものを感じました。新しいタイプの漫画家漫画として大いに期待したいですね。

 

 個人的に気になっているのが、「旅とごはんと終末世界」。崩壊した世界でいなくなったご主人様を探して旅を続けるロボットの少女の物語。最近ではひとつのトレンドとなっているポスト・アポカリプスものの中でも、とりわけ穏やかで叙情的な作品として気に入っています。

 

 ここ最近は、ガンガンONLINEやマンガUP!などオンラインからの移籍・出張掲載がひとつの中心ともなっている感もあるガンガン。もはや紙雑誌として単独でやっていける時代ではなく、こうしたオンラインコミックと連携してやっていく体勢になっているようです。そもそも「ばらかもん」も元はガンガンONLINEからの移籍(同時掲載)ですし、最近では「おじさまと猫」もそうです。かつて90年代のロト紋・パプワ・グルグルから始まる黄金時代や、2000年代でも「鋼の錬金術師」や「ソウルイーター」が存在感を放っていた頃のような圧倒的人気作品は、もはや望むべくもありませんが、移籍やコミカライズも含めて安定した良作がいくつかは読める雑誌として考えれば、そこそこは楽しめるものに落ち着いたと考えるしかなさそうです。

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