「狼少年は今日も嘘を重ねる」最終5巻発売。

kenkyukan2018-04-12


 先日、namoさんの「狼少年は今日も嘘を重ねる」の最終5巻が発売され、ついにこの作品も完結を迎えたのかと思ってしまいました。エンターブレインウェブコミックサイト・ファミ通コミッククリアで連載されていた作品で、連載開始は2014年。随分前から追いかけていたなと思っていたのですが、ここでついに完結でした。
 肝心の内容ですが、女装男子の主人公・啓太郎と、ある事情で男性嫌い(恐怖症)となった女の子・外鯨さんのちょっと変わった交流を描く恋愛ラブコメディでしょうか。目つきの悪さにコンプレックスを持ち、好きだった外鯨さんへの告白も断られた啓太郎ですが、茶目っ気ある姉のいたずら心からいきなり女装させられ、それをきっかけに(女装したまま)外鯨さんと付き合うことになる。見た目かわいい女装男子と女の子が付き合うというシチュエーションの楽しさ、いつかばれるかもしれないという緊張感と罪悪感、やがて登場する外鯨さんの後輩の牡丹(ぼたん)の3人で織り成される微妙な関係と、非常に面白い作品となっていました。一方で外鯨さんの過去のコンプレックスからの克服というシリアスなテーマもあり、様々な点で読ませる作品だったと思います。

 それともうひとつ、ヒロインの外鯨さんや牡丹が本好きという設定で、読書やあるいは本そのものへの愛着が、随所で描かれていたのも魅力でした。あるいは書店や図書室など本のある空間の心地良さ。作者のnamoさんのさらっとした気持ちのいい作画もあって、そうした雰囲気の良さも大きく惹かれるポイントだったと思います。個人的には、最終5巻でラストの掲載された過去のエピソードで、外鯨さんと牡丹が子供の頃に本を通じた親友になるきっかけが描かれた話も印象に残りました。

 namoさんの過去作にも触れておきましょう。最初の連載は、「バカとテストと召喚獣」のスピンオフ作品だったようですが、最初にわたしが触れたのは、2012年にスクエニのJOKERで連載されたあのアイドルマスターシンデレラガールズモバマス)のコミカライズ・「アイドルマスター シンデレラガールズ ニュージェネレーションズ」です。当時のスクエニは、シンデレラガールズのコミカライズを各雑誌で積極的に開始していましたが、島村卯月渋谷凛本田未央の3人をメインに描くこの作品が、最も安定して面白かったと思います。

 翌2013年からは、メディアワークス電撃萌王の方で、こちらはオリジナルの連載「まどろみちゃんが行く。」を開始。なぜか角が生えている女の子・まどろみちゃんと、彼女の保護者として日々かまってやるタイチくんの日常を描くコメディでした。とてつもなくほのぼのした作風で、まどとみちゃんのかわいさに和むこと間違いなしの良作でした。ゆっくりと連載が続き、そのままのペースで終わってほしくなかったのですが、残念ながらコミックス2巻で一足先に終了しています。

 それぞれ方向性や雰囲気はやや異なりますが、いずれも非常に面白い良作だったと思います。いずれも作画が非常に安定して心地よい雰囲気を出していたのもポイントです。いずれまた新作の連載を期待したいと思います。