「キャタピラー」がついに連載終了。

kenkyukan2018-04-05

 先日、ヤングガンガンであの「キャタピラー」が、次号で連載終了を迎えるとの予告があり、ついにこの時が来たかと思ってしまいました。2012年からの長期連載で、さらにはスピンオフの本編である「アラクニド」の開始から数えるとさらに長い連載となっていました。本編の「アラクニド」は一足先に終了を迎えており、スピンオフの「キャタピラー」が単独で連載を続けている状態でしたが、こちらもついに終了。これでシリーズは完全に幕を閉じることになったのでしょうか。
 本編の「アラクニド」は、2009年にガンガンJOKERの方で始まった連載で、「虫」の能力を持つ殺し屋たちが集まる組織に入った女子高生・藤井アリスの苦闘を描くバトルものとなっていました。暴力的で過激な表現も多い尖った作風でしたが、それ以上に特徴的だったのは、原作者である村田真哉さんの「虫」に対する強烈なこだわりです(笑)。昆虫を始めとする小さな虫たちの驚くべき能力、それがいちいち詳細に説明され、個性的なキャラクターたちの能力に的確に反映されていました。個人的には、およそ「虫マンガ」としては、あの「テラフォーマーズ」さえ凌ぐところもあったと思っています。個人的には「リオック」(巨大コオロギ)や「パラポネラ」(巨大針蟻)の能力を持つキャラクターが特に印象に残っています。

 スピンオフの「キャタピラー」も、基本的な設定はほとんど同じで、こちらは「アラクニド」よりも前の時期を描く話となっています。両方の作品に登場するキャラクターも多く、それもひとつの楽しみでした。こちらの主人公は、タイトルどおり「芋虫(キャタピラー)」の能力を持つ女性。引くことを知らないストロングスタイルの強引な戦い方に強烈な魅力を感じる設定となっていました。青年誌のヤングガンガンの連載だからか、さらに設定は過激で性的な要素も多くなっていますが、基本は「アラクニド」と共通した作風で、本編に負けず劣らずの面白さで作品世界を広げる名スピンオフになっていたと思います。

 また、こちらの作品は、連載途中の2013年に作画担当の匣咲いすかさんが休止、連載が一時中断するという大きな事件がありました。これは大きなニュースにもなり、一時期は連載の継続も危ぶまれましたが、幸いにも翌年に新しく速水時貞さんが作画担当に抜擢され、前担当の作風をそのまま受け継いだ巧みな作画を披露、そのまま連載が再開される運びとなったのです。

 そのまま連載はずっと長く続き、本編の「アラクニド」が続いてもなおそのまま続いていて、最後までアニメ化など新展開もあるのかなと期待していたのですが、残念ながらここで連載終了。「アラクニド」も「キャタピラー」も、いつアニメ化してもおかしくない作品だと思いましたが、結局その話はなし。むしろ原作者の村田さんの後発の作品である「キリングバイツ」が、先行する「アラクニド」「キャタピラー」を差し置いてアニメ化されてしまいました(笑)。

 もちろん「キリングバイツ」もいい作品だと思いますが、やはり虫マンガの名作である「アラクニド」「キャタピラー」にも、もっと日の目を見る機会があってもよかったと思うのです。作画担当の急死という大きな壁を乗り越えて、ここまで長く楽しんできた作品だけに、それだけが心残りでした。