コミックアライブももう12年。

kenkyukan2018-07-04

今月発売のコミックアライブの表紙に「創刊12周年」の文字が躍っていて、ああこの雑誌ももうこんなに経つのかと思ってしまいました。コミックアライブの創刊は2006年。MF文庫Jを始めとするライトノベルの出版で知られたメディアファクトリーが、マンガ雑誌にも進出という形での創刊でした。あの当時は、どういうわけかマンガ雑誌の創刊ラッシュで、他の出版社からもかなりの数の雑誌が創刊されたのですが、その多くは早期に休刊となってしまいました。あるいは結局ウェブに移行した雑誌も多い。そんな中で、ここまで10年以上紙雑誌として続き、ページ数も分厚いままで健在なところを見ると、このアライブは成功組と見て間違いないでしょう。
 ここまで安定して続いてきた大きな理由は、まず自社のMF文庫Jを中心とするライトノベルのコミカライズ、あるいはゲームやアニメ作品のコミカライズで、手堅く人気を確保してきた方針がありそうです。創刊初期の連載ならば「ゼロの使い魔」や「IS 〈インフィニット・ストラトス〉」、「緋弾のアリア」「僕は友達が少ない」、比較的最近の連載ならば「ノーゲーム・ノーライフ」「Re:ゼロから始まる異世界生活」や「ようこそ実力至上主義の教室へ」あたりがその代表でしょうか。こうした誰もが知る人気作品のコミック連載の存在は大きい。コミック化でさらにヒットした作品もあり、最近ならリゼロこと「Re:ゼロから始まる異世界生活」のコミカライズは、かなりの良作であると思っています。

 こうしたメディアミックスと同時に、オリジナルの連載も初期の頃からまとまった数を打ち出し、そちらで良作を出し続けてきた意義も大きい。最初期の連載では「まりあ†ほりっく」、数年後には「のんのんびより」や「ディーふらぐ!」の連載が始まり、いずれもアニメ化を達成しています。こうしたオリジナルの作品は、ライトノベルやアニメのコミカライズとは雰囲気の異なる作品も多く、意外に幅広い誌面の方針を感じることも出来ます。人気作品のコミカライズで手堅く人気を確保しつつ、オリジナルでは自由に幅広く様々な連載を打ち出していく。これも成功の大きな理由ではないでしょうか。

 もうひとつ、これは出版社のビジネスの話になってしまいますが、2013年にメディアファクトリーKADOKAWAによって吸収合併され、KADOKAWAグループの一員となったことも、この雑誌がここまで存続出来た理由として否定できません。次々と出版社を吸収合併する暗黒巨大企業・KADOKAWAの傘下となることで(笑)、運営に余裕が生まれて休刊の可能性は大きく遠のいたと思います。KADOKAWAグループの他出版社のコンテンツを容易にコミカライズできるようになったメリットも大きいですね。

 現在では、この雑誌も電子化を達成し、そのKADOKAWAの雑誌読み放題サービス(「マガジン☆ウォーカー」)で読むことも出来るようになり、時代の移り変わりを感じます。紙の雑誌では相変わらず連載本数が多くてめちゃくちゃ分厚いですが(笑)、こうしたサービスを利用して読んでみるのもありだと思いますね。