20年前の「浪漫倶楽部」でハロウィンイベントを描いた天野さんは神。

kenkyukan2017-11-02

 今年も先日のハロウィンの話題でひとしきり盛り上がったようです。しかし、6年前のアニメ「Aチャンネル」で「なんか最近急に流行りだした気がする」というセリフがあるように、おそらくは日本ではここ7〜8年で急速に流行ってきた印象があり、とりわけ街で仮想が見られるほどに盛り上がってきたのは、ほんのここ3〜4年ほどではないかと思います。ハロウィンという行事自体は前から知っていた人は多かったと思いますが、ここまで急速に浸透したのは面白い現象で、自分としては楽しいイベントがひとつ増えて歓迎だと思ってます。
 しかし、このハロウィンに関連してひとつ思い出す昔のマンガがあります。「ARIA」天野こずえさんの連載デビュー作で、ガンガンで約20年前に連載された「浪漫倶楽部」です。

 「浪漫倶楽部」は、少年ガンガンで1995〜1997年に連載された天野さんの最初の連載。中学で「浪漫倶楽部」という不思議な現象を追い求める部活の活動を描く作品で、日常のささやかなファンタジー要素と切ないストーリーが魅力でした。しかし、それと同時に「終わらない放課後」というテーマで、学校の放課後の楽しい日常を描くというコンセプトもあり、そのためか文化祭のような学校の行事が積極的に描かれていたのも特徴でした。中には七夕祭りのような他の学園ものではあまり描かれないようなイベントもあり、その中のひとつにハロウィンまであったのです。

 当時はハロウィンでイベントが開かれることはあまりなく、まして学校行事で行うところはほとんどなかったと思います(今でも多くないでしょう)。七夕祭りも学校行事としては相当マイナーだと思いますが、まだ地域の行事と連動するような形で笹に短冊を飾るくらいのことをやっても不自然ではない。しかし、ハロウィンとなると当時はまだ海外のイベント。マンガの中ですらこうしたイベントが、まして学園もので描かれることは珍しいなと思っていました。

 しかし、あれから20年。いつの間にかハロウィンはここまで一般的に広まったイベントとなり、今このエピソードを見てももう違和感はなくなりました。ある意味今の流行を早々と先取りするような形となっていて、20年前の「浪漫倶楽部」でハロウィンを描いた天野さんは軽く神ではないかと思います(笑)。まさに早すぎる名作。今こそこういう視点からも見直しても面白いと思いました。