「罪と快」(染谷ユウ)

kenkyukan2017-11-01

 ヤングガンガンの最近の新連載から「罪と快」(染谷ユウ)をおすすめしたいと思います。今年(2017年)の8号から始まった連載で、先日コミックス1巻が発売されました。
 内容ですが、厳しすぎる両親からのストレスに耐えかねて盗撮行為を重ねるようになった少年が、同じ高校の女子生徒に盗撮がバレて脅迫され、「緊縛師」である彼女の元で縛られるプレイを強要されるというもの。一言で言えば、男子高校生が女子高生に縛られる話です。

 はっきり言えば非常にマニアックな内容ではあるのですが、そのストーリーは確かに見せるものがありました。成績に対して厳しすぎる両親から自分を認められないつらさ、そこから盗撮という代償行為に逃げるという心理、緊縛という異常な行為に対する恐怖、しかし次第にその快感にのめりこんでしまう抗えない性(さが)。そうしたことが迫力の筆致でよく描かれていると思います。

 とにかく絵がうまいのも魅力ですね。端的に女の子のかわいさもよく描けていると思うんですが、同時に迫力の筆致で随所で影が差すような暗い心情もよく描かれている。作者の染谷さんは、これまで名前を知らなかったので、ほんとにヤングガンガンからのデビュー連載なのかなと思いますが、最初からかなりレベルの高いビジュアルで完成されていると思いました。

 さらに、最新の展開では、ついに盗撮が両親にバレたことをきっかけに、両親に自分のつらい心情をぶちまけ、一転して譲歩した理解ある父親のもとで和解、ストレスから解放されて真っ当な高校生活に向かうかと思われました。しかし、あの責められる快感を忘れることが出来なかったのか、今度は女子高生から貞操帯を渡され、それを装着することでまともに自慰も出来ないという苦痛に責められ、ついには女生徒から射精管理をされるという斬新な展開に発展(笑)。

 ストレスによる逃避行動の結果ではなく、自分から快感を求めての行動へと発展してきて、これはいよいよ面白くなってきましたよ。今のところコミックス1巻の発行部数は少ないようで、あまり出回っていないのが残念なところですが、これは注目の新作として是非ともお勧めておきたいと思います。