「平成生まれ」で平成は終わる。

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 新しい元号も発表されて平成ももうじき終わるらしいですが、そんな平成最後に是非とも紹介しておきたいマンガがあります。「平成生まれ」(ハトポポコ)です。きららの4コママンガの中では異色とも言えるこの作品。ひょっとするとタイトルどおり「平成生まれ」を象徴する作品だったのかもしれません。

 

 「平成生まれ」は、2010年よりきららキャラットで始まった連載。作者のハトポポコ先生は、同時期に竹書房や電撃の雑誌でも連載を行っていましたが、その中でも代表作と言えるでしょう。途中2013年、2015年に一時期連載を終了し、その後しばらくして「平成生まれ2」「平成生まれ3」として連載が再開されたという経緯があります。タイトルは変わっているものの、内容は新キャラクターが加わった程度で大きな違いはありません。2016年終了の「平成生まれ3」まででひとつの作品と見てよさそうです。

 

 肝心の内容は、この時期のきららでは異色とも言えるシュールギャグ。きらら創刊初期から中期にかけては、様々な方向性の作品が掲載されていましたが、この時期はもうきらら系ならではの「かわいい」4コマの作風が確立していて、そんな中でこの作品はかなりの異色と言えました。シュールギャグという点では、大沖先生の「はるみね~しょん」やカヅホの「キルミーベイベー」あたりと近い立ち位置かもしれませんが、それらとも異なる独特の面白さを持っていました。

 

 キャラクターたちはみな女子高生で、その多くが2人のコンビでボケとツッコミの掛け合いを行う。あの手この手で繰り出されるシュールな掛け合いが最高に面白い。極めて個性的な、模式的とも言える作画のキャラクターデザインも、そのシュールさを際立たせています。このシュールな独特の感性を持つキャラクターたちが、果たして「平成生まれ」ならではの特徴なのか、そんな時代性を反映しているのかはよく分かりませんが、ただ平成も20年を過ぎたこの時代、本当に平成生まれの子供たちが高校生になるような時代に、こうしたマンガが出てきたこと自体が面白いと思いました。奇しくも平成は30年で終わることとなり、平成末期となったこの時代に、こうしたタイトルを冠する連載が行われたことに意義があると思ったのです。

 

 それともうひとつ、この「平成生まれ」、少し前にアニメ化された「少女終末旅行」(つくみず)に大きな影響を与えていることも書いておきたい。作者のつくみず先生自身、ここから影響を受けたことを明言しているくらいで、作画やキャラクターの関係性に直接の共通感が見られます。「平成生まれ」のメインキャラクターである佐藤と四村の関係が、そのまま「少女終末旅行」のユーリとチトの原点となっているようで非常に面白い。こちらも今の時代ならではの新感覚の終末もの(?)として注目を集めましたが、そんな作品へ影響を与えたこともまた「平成生まれ」ならではの功績だと思うのです。